デッドリフトは低レップでトレーニングするべき【筋力向上目的】

デッドリフト レップ数

パワーリフターでも筋肥大やwork capacity強化を目的としたオフシーズンでは、比較的高レップのセット(6~12レップ)をビッグ3に取り入れると思います。

もちろんスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの種目や、レップに対する個々の反応によって、効果的なレップ数は変わるはずです。

その中でも、個人的にデッドリフトは一番高レップをやるメリットが少ないと思います。

本記事では、オフシーズン中もデッドリフトは比較的低レップで行った方がいい理由を説明します。

筆者

デッドリフトは低レップ高セット

筆者について

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

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デッドリフトの定義について

そもそもこの記事はデッドリフトの1RMを向上させたい、パワーリフターやビッグ3愛好家に向けて書いています。

なので、デッドリフトはハーフデッド(ラックプル)やブロックプルではなく、パワーリフティングのルールに則るデッドリフトとして話させていただきます。

記事中で「デッドリフト」という場合は、パワーリフティングで成功試技となるデッドリフトとお考えください。

ルーマニアンデッドリフトやデフィシットデッドリフトなど補助種目的なものも別扱いとして話します。

また、「高レップ」も曖昧になってしまうので、ここでは6レップ以下を低レップ、7レップ以上を高レップとしておきます。

デッドリフトは停止状態から始める

まずデッドリフトに低レップが向いている理由として、デッドリフトはバーベルが停止した状態から始められることが考えられます。

つまり、スクワットやベンチプレスに見られるようなストレッチショートニングサイクル(伸張反射)がないです。

ストレッチショートニングサイクルとは...

  • 筋を伸ばすことによって、伸ばされまいとする伸張反射が働いて筋の発揮張力をさらに高められる
  • 筋の発揮張力が高まるこ とによって、筋に直列に付着している腱が「ばね」のように振る舞い、弾性エネルギーを貯蔵・再利用できる
引用元:国立スポーツ科学センター

要は筋肉がストレッチされることによる反動です。筋肉がエキセントリック収縮するタイミングで発生します。

デッドリフトはエキセントリックから始まらず(他の2種目と違い)、コンセントリックから始まるため、このストレッチが存在しません。

つまり、エキセントリックから始まるレップ=2レップ目以降のデッドリフトは、本来の試合形式とは違う練習をしていることになります。

筋力は動作に特異性を持って成長しますので、これではファーストプルが強くなりません。したがって1RM向上に貢献しにくいと考えます。

もちろん、床でポーズすることで若干はこの作用を抑えられるとは思いますが、完全にはなくならないでしょう。

毎レップ完全にリセットするのもあり

このストレッチショートニングサイクルを避けるために、1レップ毎に手を離して立ち上がるのもありです。

当然ながらめちゃくちゃ辛くなるので、取り入れる方は覚悟しておいてください。

参考までに、過去にアメリカ93kg級で1位になったことのあるレイン・ノートン(Layne Norton)は試合形式のデッドリフトだとリセットしています。

スモーデッドリフトはファーストプルが特に重い

ファーストプルの練習ができなくなるのは、多くのパワーリフターにとって致命的です。

なぜなら基本的にスモーデッドリフト(ワイドデッドリフト)は、ファーストプルが一番難しいポイントだからです。

(ジョン・ハックやラッセル・オルヒのようにイケメンナローデッドリフトの方々は、この章を無視してもらって大丈夫です。)

スモーデッドリフターの場合、1レップ試合形式とレップの差が大きく開いてしまいがちです。ファーストプルの辛さが重くなるほど強調されるからです。

じゃあどうすれば良いのかというと、フォームが崩れないレベルで、重めの重量でファーストプルを練習するしかありません。

そして重量が重くなれば、当然レップ数は少なくなります。練習量を確保するためにセット数は多くすることになるでしょう。

自分もスモーデッドリフトなので「この重量5レップいけるのに10kg上げただけでなんでこんな重いんだ」みたいな経験があります。

人によるとは思いますが、スモーデッドリフトには特に低レップの方が向いていると思います。

ケイラー・ウーラムユーリ・ベルキンジャマル・ブラウナークリス・ブリッジフォードのような世界トップスモーデッドリフターは比較的低レップセットで練習している傾向があるように思えます。ただ単にハイレベル過ぎて高レップの必要がないのかもしれませんが。

セカンドプルが詰まるナローデッドリフターは高レップもあり

上記の内容を書いてて思いましたが、セカンドプルが詰まってしまうナローデッドリフターは高レップトレーニングも効果的な場合があると思います。

床からは簡単に上がるけど、膝上くらいから止まってしまう人です。

この場合は、ファーストプル関係なしに上半分を鍛えられればいいため、高レップで伸張反射が効いてしまっても問題ないでしょう。

しかし、セカンドプルが詰まる原因として「背中を丸めてファーストプルをあげている」ことも考えられます。

そういうケースの場合は、やはりファーストプル強化が必要となってくるため(背中を丸めることでファーストプルを楽にしている)、高レップで特にバウンドさせるなどは避けるべきです。

高レップではフォームが崩れてもあげてしまう

デッドリフトはフォームを崩してもあげられてしまう種目です。特にナローデッドリフトの場合。

フォームが崩れてもあがるとはいえ、その状態でトレーニングするのが最適ではありません。効率的なフォームが失われ、1RMに繋がらなくなります。

先ほどのファーストプルの話同様、スモーデッドリフトの方がフォームによる影響が大きいです。

高レップでトレーニングすると何が起こるかというと、重量が軽いためフォームが崩れてもあげられてしまいます。

決めたレップ数を達成するために必死になるため、フォームが崩れても気にしなくなってしまうという精神面の問題もあるでしょう。

もちろん、ジェシー・ノリスのように完璧なフォームを保ちながら超高レップセットをやるのは大丈夫です。

しかし、フォームが崩れてしまうレベルで高レップ、さらにレップ自己ベストに挑戦するような行為はあまり試合形式での筋力を向上させないでしょう。

グリップが持たないためストラップを使う

また、高レップが試合形式の1RMに繋がりにくい理由として、ストラップの利用も考えられます。

オルタネイトグリップやフックグリップで1RMを引くのが標準ですので、本来であればそのトレーニングをできるのがベストです。

特に試合でオルタネイトグリップを使用する場合は、左右のバランスや感覚がストラップ(オーバーハンド)使用時と異なるため、パフォーマンスが低下する可能性が高いです。

それだけでなく、ストラップを使うことで挙上距離が若干短くなります。完全に握らなくてもバーベルが落ちないからです。特に八の字のストラップを使用されている方は要注意です。

実質腕が長くなったかのように挙上距離が短くなるため、ファーストプルが楽になるということです。つまり前述した問題が発生します。

ストラップの使用自体は問題なし

とはいえ、ストラップ(パワーグリップ含む)の使用そのものは賛成です。理由は主に以下の2つです。

  • トレーニング疲労度が下がる
  • ピーキングで練習すれば大体問題ない

ストラップを使う最大のメリットは、デッドリフトによる疲労度が落ちることかと思います。

マメが潰れたり握力が疲労すると、トレーニング全体に悪影響を及ぼします。スクワットもベンチプレスもちゃんと握れず、背中の補助種目は死亡します。

超主観的な意見ですが、グリップが疲労していると、全身的な疲労というか神経的な疲労というか、局所的ではない疲労を感じます。

また、ピーキング時にちゃんと練習していれば、普段ストラップを使っていても問題ないのも事実です。

大抵の人は1ヶ月くらい試合形式のグリップで練習すれば大丈夫でしょう。重要なのは日頃からそれを意識してトレーニングすることです。

筋肥大目的であれば補助種目を使う

「低レップでしかトレーニングしなかったら、デッドリフトに必要な筋肉群が成長しない」という考えもあると思います。

これに対しては以下2つの理由から、試合形式のデッドリフトで高レップを行う必要はないかなと思います。

  • 低レップでも同様に筋肥大は起こる
  • 筋肥大だけでいえば補助種目でも十分

まず最初に言えるのが、低レップでもボリュームが同じであれば同レベルの筋肥大は起こるということです。

さらにデッドリフトは1RMを向上させるのが最大の目的であるため、1RMに近い重量で練習できた方が筋力には効果的です。

レップ数と筋肥大の関係性

レップ数は?筋トレに効率的なレップ数は?筋肥大にレップ数は関係ない研究

そして、筋肥大をさせたいのであれば補助種目を取り入れた方が効率がいいと個人的には思います。

デッドリフトは皆さん体感している通り、全身的な疲労が大きいです。例えば高レップでハムストリングをデカくしたくても、僧帽筋や脊柱起立筋にも疲労がたまります。

疲労が溜まってしまい全体のボリュームが稼げなくなったら逆効果です。なので全身的疲労の小さい補助種目を取り入れた方が良いでしょう。

ハムストリングならルーマニアンデッド、僧帽筋ならペンドレーロウ(床引きの止めありベントオーバーロウ)など、絶対的重量を下げることが重要です。

そうすることでトレーニング全体への支障を減らしながらも、狙った部分を強化することができます。

デッドリフトの補助種目

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デッドリフトは低レップで:まとめ

以上がデッドリフトを低レップで練習するべき理由になります。簡単にまとめるとこんな感じです。

  • 高レップだと伸張反射を使ってしまう
  • スモーは特にファーストプルが重い
  • 高レップはフォームが崩れてしまう
  • ストラップを使うと試合形式の練習にならない
  • 筋肥大は補助種目を使えばいい

人それぞれ向き不向きはあるので、あくまで個人の意見として読んでもらえましたら幸いです。

今現在高レップデッドリフトを取り入れていて伸び悩んでいる方がいましたら、低レップ気味にセットを組んでみてもいいかもしれません。

科学的に、解剖学的に、コーチに言われたからなど、色々な意見が存在していますが最終的には試行錯誤して効果のあるものを見つけるしかありません。

この記事がデッドリフトマックス向上に繋がったらうれしいです。読んでいただきありがとうございました!

床引きデッドリフトと筋肥大床引きデッドリフトは背中の筋肥大種目ではない理由

参考文献

  1. 第4回 伸ばしてから縮める:伸張―短縮サイクル運動, 国立スポーツ科学センター(2020-01-16時点)