回復に関する必須知識を全て解説

回復に関する全ての必須知識

Everything You Need to Know About Recovering

著者:Mike Israetel

執筆日:2014-12-9 (2020-5-30訳)

Mike Israetelは、トレーニング科学の教授で、パワーリフティングやボデイビルディングの競技経験もあり、さらに米国オリンピックトレーニング地でのスポーツ栄養コンサルタントを担当した経験があります。

本記事は、Juggernaut Training Systemsの許可を得て、英語から翻訳しています。JTSはパワーリフティングやウェイトリフティング、ストロングマンのコーチングを行っているアメリカトップのコーチンググループです。※画像の出典元は原文記事になります。

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序論

効果的なトレーニングのためには、過負荷をかけなければいけません。

何ヶ月、何年、さらには生涯をかけて成長するたびに、トレーニングを辛く、長く、負荷をかけたものにする必要があります。

しかし、ハードなトレーニングは必須ではありますが、大きな副作用も生じます。累積疲労です。

トレーニング直後に疲れたり息切れしたりすることを意味するのではなく、毎週トレーニングする中で100%は回復しない欠乏、ダメージ、微小断裂が積み重なってできる疲労のことです。

その要因やトレーニング手法による疲労管理については、こちらで詳細に解説しています。

※日本語訳版:トレーニングにおける疲労の解説を本サイト内に用意しています。

リンク先の記事で説明しているように、実りのあるトレーニングを続けるには、疲労度が高くなり過ぎないようにし、高まった際には落とすといったように、疲労管理の必要があります。

それには、トレーニング手法による疲労管理が効果的です。ディロードやアクティブレストのようにリフレッシュできるものはありません。

しかしながら、どれくらいの頻度で疲労が手に負えないレベルになるのか、それに従ってどれくらいの頻度でディロードが必要になるかは、決まっていません。

トレーニング以外の要素で疲労管理をすれば、トレーニングのためにただ回復させるのではなく、実際にトレーニングして成長する期間を伸ばしパフォーマンスを向上できます。

対極のケースでは、トレーニング以外の領域で下手すると、回復を抑えるだけでなく、トレーニングによる成長も止めてしまいます。

これから紹介する疲労管理方法の中には、トレーニングを向上させるものもあれば、基本的なトレーニングプロセスで成長するために必要最低限なものもあります。

それでは、ジム外で行える疲労管理方法に関して、3章に分けて解説します。

  • 効果的なもの
  • 科学的に不確かなもの
  • 計画していたほど効果がない、もしくは一切効果がないもの

始めましょう!

効果的な疲労回復方法

本章で紹介する疲労軽減方法は、ほとんど確実に効果があるものです。3つの明確な強みを基に選びました。

  • ピアレビューにおいて強力に支持されている
  • 現代のスポーツ科学や生理学と論理的に一致している
  • 様々なアスリートやトレーニーが長い間使ってきた方法で、その効果も主張されてきている。

これら3つに当てはまれば、本当に効果のあるものだと気づきます。

まず初めに、そして最も強力な疲労減少法は...

睡眠

睡眠は非常に強力な疲労対策法で、おそらくこの他の項目全ての合計よりも効果的です。

事実、慢性的に睡眠不足だと、この他に行う疲労対策が全て無意味に近くなってしまいます。

興味深いことに、動物(人間含む)における睡眠の主要な働きは、疲労を抜くことです。

トレーニング後のマッサージは無くてもどうにかなりますが、睡眠は任意ではありません。

慢性的に必要な睡眠量に達しないと、色々と愉快な効果が現れます。パフォーマンス低下、テクニックの崩れ、コルチゾールの増加とテストステロンの低下などです。

睡眠がない状態が続くと、特に興味深い2つのことが起こると科学的に示されています。脂肪の増加と、体重減少(睡眠不足がそれほど悪化した場合)です。

体重減少と脂肪増加の組み合わせは、文字通り筋肉を最速で失う方法です。本当にイヤなことですね。

睡眠が取れるのは良くて、睡眠がないのはダメなんですね、わかりました。実践的にはどのようにすれば良いのでしょうか?どれくらいの睡眠で十分でしょうか?

平均的なトレーニーは1日8時間ほどは睡眠が必要みたいです。

しかしながら、平均的なトレーニーではないかもしれないので、この指標もあまり当てになりません。

誰もが、5時間しか寝ていないのに問題なく回復できる人を見てきているでしょう。

ロニーコールマンもこのようなグループの人だったようです。結局のところどうすれば良いのでしょうか?

睡眠に関して最もお勧めできることは、自分にとって十分な時間寝るということです。

あなたのトレーニングパートナーは6時間の睡眠でいいかもしれませんし、コーチは10時間必要かもしれません。

しかしながら、自分にとっての生理的に十分な睡眠量を取ればいいだけなのです。

どうすれば十分だとわかるでしょう?子どもでもない限り、わかるはずです。

起きた時に疲れていて日中に眠くなるのであれば、質の高い睡眠を十分にとれていません。

刺激物を大量に摂取せずとも何となく大丈夫な感覚であれば、問題ないでしょう。

効果があるか確かめるためにもう少し睡眠時間を増やしてみるのもいいですが、基本的には前述した通りに単純です。

そして、ほとんどの人が睡眠不足の時、自分で理解しています。

理解していますが、「仕事がきつい」「ストレスで寝付けない」と言ったり、もしくは深夜番組が好きでやめられなかったりします。

たまに睡眠不足になる程度であれば大丈夫ですが、慢性的な場合、トレーニングの結果に大きな影響を与えることになるでしょう。それは確実です。

月に数回週末に夜遅くまでパーティしてもいいですか?もちろんです!

しかし、週5回睡眠不足なのであれば、必要な睡眠を確保する習慣をつけるのは効果的かもしれません。

食事

睡眠に続いて最も強力な疲労対策法は、食事です。

十分な量をとればいい睡眠と違い、食事は多いほど良いです。(一定のラインまで)

最も疲労を減少させられるのは、増量食です。

消費するよりも多くのカロリーを摂取して、体重が増えていれば、そうでない場合よりも疲労管理が圧倒的に効果的になります。

その瞬間にはほぼ不可能に思えたトレーニングからも生き残って回復でき、数回高カロリー食を摂取すれば既に同じトレーニングを繰り返せます。

食事量が少ないほど、疲労管理は難しくなります。

正しくバランスの取れたメンテナンスカロリー食でも回復を促進できますが、メンテナンスからカロリーが下がるほど、疲労が蓄積しやすくなります。

食事に関しては、紛れもない事実なので、上記を受け入れるしかありません。(※訳注:睡眠では個人差があるのと違い、食事は誰もが共通しているという意味)

それが、減量食中に正しいトレーニング管理や睡眠を確保しなければいけない理由です。

食事という最も強力なツールの一つで、必要な量を得られなくなってしまうからです。

疲労に関して言えばカロリーが王様ですが、マクロ栄養素も重要です。その中で何が最も大事でしょう?炭水化物です。

そうです、たんぱく質は今回、いつものように最重要ではありません。

たんぱく質は筋肉を作り、維持しますが、炭水化物は筋グリコーゲン貯蔵量に影響するため、累積疲労へさらに大きな影響を持っています。

グリコーゲン量が少ないと、文字通りAMPkやその他のカタボリックで疲労に関連した細胞の働きを活性化させます。

もっと言うと、グリコーゲン量が少ないこと自体が累積疲労を生み出す強力な要素です。

グリコーゲンを補充できる量の炭水化物を摂取すれば、疲労対策には十分です。

それに加えて、炭水化物の摂取はコルチゾール量を低下させる傾向もあり、一石二鳥です。

たんぱく質は1kgあたり2.2gが良い目安ですが、炭水化物はトレーニングや活動量に応じて変わります。

  • 軽い日やオフの日:体重1kgあたり2.2g(パワーリフティングの典型的なピーキングである3~5レップのセット)
  • 中難度の日:体重1kgあたり4.4g(パワーリフティングやボディビルディングで典型的な5~10レップのセット)
  • 1日で数セッション行う超高ボリュームの日:体重1kgあたり6.6g(複数のスポーツ、持久系スポーツ、クロスフィットを行っているケース)

特に減量が目標の場合は、上記のガイドラインよりも少なくてもいいですが、疲労には悪影響を及ぼすため、結果を得るために減らす量は最低限にしましょう。

脂肪も様々なホルモン産生に重要なため疲労に影響がありますが、影響度はもっと小さいです。

基本的には、体重1kgあたり0.45gの必須脂肪酸を摂取すると良いでしょう。

90kgの人が慢性的に20gに足りていない状態の場合、必要以上に疲労が溜まってしまうかもしれません。

リラックスできる/楽しい低ストレスな活動

3番目に強力な疲労対策法として、リラックスできる活動が挙げられます。

累積疲労のメカニズムに関して昔からわかっている重要な発見は、疲労は多因子性ということです。

疲労はどんな種類のストレッサーからも蓄積されます。トレーニングだけではありません。

つまり、普段のトレーニングによる生理学的ストレスだけでなく、日常生活のカロリー消費からも、さらには心理的ストレッサーからも疲労が蓄積されます。

最終的にこれらの疲労要因が積み重なって、ある時点での累積疲労となり、疲労の要因が何であれトレーニングへの悪影響はいくらか存在します。

そのため、睡眠や食事、その他の疲労対策が取れていても、常に心理的ストレス下にいると、疲労管理では対応できなくなります。

仕事で非常にストレスがたまる週があったら、その1週間後でもトレーニングの生産性を低下し得ます。

睡眠不足による疲労に対応する場合、睡眠量を増やします。低カロリー食による疲労に対応する場合、食事量を増やします。

トレーニングによる疲労に対応するためには、一時的にトレーニングを楽にする期間をとります。

それと同様に、楽しくてリラックスできる活動が、心理的ストレッサーによって溜まった疲労への対策となります。

友人と映画を見に行ったり、公園でゆったり散歩したり、ソファで身体を伸ばしながらNetflixでクローン・ウォーズを数エピソード見たり(これが私のお気に入りです)することで、疲労減少に貢献できます。

注意点があります。パーティを許可している訳ではありません。

活動は楽しく「リラックスできる」もので、楽しくて疲れる(良いパーティにありがち)ものではありません。

もちろん、誰しも仕事があり家庭も持っていて責任もあるので、トレーニングしない時は何もしないという訳にはいきません。

なので実際にはどうすればいいのでしょうか?

余暇の時間を増やせないが、トレーニングの結果を追求している場合、2つのやり方が思いつきます。

a) 余暇の時間を賢く利用する

週末にパーティしたり飲んだりするのではなく、友人と食事に出かける、もしくはスキャンダラスなことを言うと...友人ともう少しキツくないドラッグ(マリファナが思い浮かびます)を使うようにしましょう。

私はタバコを吸いませんし、お酒もほとんど飲みませんが、どちらか一方を選ぶとしたら、飲酒の方が明らかに良くないです。

b) ストレッサーへの対応を良くする

ホルモンの変化、怒りやイラつき、そして高心拍数は、人類進化の過程における「闘争・逃走反応」の名残です。

コピー機を壊して職場から走り去ると給料がもらえなくなってしまいますので、これらの反応は良くないです。

そうではなく、仕事やその他のストレッサーに対する平静な姿勢を磨き上げましょう。

落ち着いて、呼吸をし、リラックスし、仕事を上手く終えるのに必要な事をして、ストレスのかかることはトレーニングしない人たちに任せましょう。

あなたはアスリートです。回復しなければいけませんので、一般的なストレスはあなたのためのものじゃありません!

同情的ボディタッチ

同情的何ですって?マリファナの話もしたり、私は気が狂ってますね!でも、ちょっと待ってください。

同情的ボディタッチは、あらゆる種類の親密な触れ合いを利用した回復・適応手段を示す一般的なスポーツ科学用語なのです。

スポーツマッサージから、おそらく最初にこの単語を聞いた時に想像したであろう、抱き合うということまでの全範囲を含みます。

なぜこのようなボディタッチを全て同一にするのでしょうか?

最も基礎的な理由としては、科学的データ上効果を区別できていないことが挙げられます。

怪我の対処としての医療的マッサージを除くと、おそらくほとんどの同情的ボディタッチは疲労に対して同様の効果があります。

疲労を大いに減少させますが、ボディタッチの種類はあまり関係ないようです。

専門家によるマッサージでも彼氏に背中をさすってもらうのでも、疲労への効果は大きいです。


どれもいい話でしたね!

疲労対策とは、しっかりと寝て、たくさん食べて、友人とリラックスして、背中をさすってもらうことです。

アスリートの生活最高!

しかし残念なことに、これらがジムの外でできる強力な疲労対策の全てになってしまいます。(もちろんテストステロンのような薬物がありますが、本記事では触れません)

次に、効果があるかもしれないけれど、まだ確実ではない疲労対策法について探求します。

科学的に不確かな疲労回復方法

本章では、普及している疲労減少手段は実は1つしかありません。

他に普及しているもののほとんどは、ほぼ確実に効果があるか、ほぼ確実に効果がないです。

もちろん確かでない疲労対策法はたくさんありますが、本記事の限られた枠の中で焦点を当てるほど主流になっていません。

熱・氷・コントラスト(怪我に関係なく定期的に行うもの)

長い間アスリートは、回復促進のために、体温や身体の一部の温度を調整しようとしてきました。

興味深いことに、その結果として身体を熱や冷気、もしくはその両方を連続して晒すようになりました。

手法としては、スチーム室やサウナ、アイスバス、コントラストシャワーもしくはメソッド(熱水と冷水を順番に当てる)などが存在しています。

アイスバス
効果を感じられるのであれば、アイスバスやコントラストメソッドを試してみてください。しかし、やり過ぎて逆に問題が起こらないようにしましょう。

これらの手法は効果が多少見込めますが、今のところ研究結果はあいまいです。

現時点では、これらの手法が実際に疲労対策に効果的で意味があると示すポジティブなデータがありません。

もしかすると本当に効果があるかもしれませんが、科学的根拠のバランスとしてはまだそれを示せていません。

自分に効果があると感じれば試してみてください。しかし、やり過ぎて逆に問題が起こらないようにしましょう。


次章にて、効果が見込めない、もしくはネガティブな結果になり得る回復手段について紹介します。

効果がない、または有害な疲労回復方法

効果のある回復手段に焦点を当てる価値はありますが、同時に効果がないものに焦点を当てるのも価値があります。

時間の無駄になるだけでなく、適応プロセスに有害で疲労が増えてしまうこともあるからです。

それらの中から、最もひどく、かつ主流なものを見ていきましょう。

不必要なストレッチ

正式にスポーツの競技が始まって以来、アスリートは何らかの形でストレッチをしてきました。

ストレッチは実際に科学的根拠がしっかりとした利点があるので、これはたまたまではありません。

ストレッチの主な利点は、考える必要もないですが、柔軟性を向上させることです。

多くのスポーツにおけるパフォーマンスは柔軟性によって制限されているため、静的および動的ストレッチを組み合わせることでスポーツ特異の柔軟性を向上させられます。

しかし、ストレッチには限界があります。

ストレッチが回復プロセスを向上させるという説得力のある根拠はありません。

実際のところ、厳しいトレーニングで柔軟性を高めようとすると、組織が余計に破壊され、筋力トレーニングを含む他のトレーニングによる適応をわずかに阻害してしまうのではないかと考えられる根拠もあります。

本質的には、ストレッチは回復を促進しないだけでなく、適応そのものを妨げている可能性があります。

自分のスポーツに柔軟性が必要な場合は、ストレッチをして柔軟性を高め、回復促進のためにストレッチに頼るのはやめましょう。

極端に熱い風呂やサウナ

熱い風呂やサウナは、特にリラックスできる場合は、回復促進の可能性があります。

しかし、一部のアスリートはこれらの方法を極端に行い、実際には状況を悪化させてしまうことがあります。

長時間高温にさらされることで、回復しようとしているアスリートに3種類の問題が生じます。

a.) 急性疲労

高温にさらされると、急性疲労を引き起こす可能性があります。

身体のシステムの乱れや、それに対応し冷やそうとする働きは、エネルギー的に負担がかかります。

また、ストレスホルモンも多く産生されます。

高温によって疲労が蓄積しなくても、すでにある累積疲労を減少させるプロセスを乱すため、急性疲労は回復を妨げます。

b.) 恒常性の乱れ

長時間高温にさらされると急性疲労だけでなく、累積疲労にもつながると考えられます。

サウナや熱い風呂を過度に利用すると、長時間にわたって体温が上昇し、これによりホメオスタシスが乱されます。

この乱れは身体の様々な働きを通常の範囲外に持っていくため、熱にさらされた後、元に戻さなければいけません。

乱れを戻すとなるとエネルギー的に負荷があり、熱にさらされる前にすでに蓄積されていた疲労に追加されます。

そうすると身体はさらに多くの疲労を対処する必要があり、時間がかかるだけでなく、生理的負担も大きくなります。

そのため、過度のサウナや熱い風呂は疲労減少法としてかなり悪い選択肢となります。

c.) 脱水

水分補給は、身体のホメオスタシスを維持する上で重要な役割を果たします。

全ての身体プロセスは液体媒体の中で発生し、適切な水分補給は、ほぼすべての身体機能が正常に動作するのに必要です。

一方で、脱水状態は、疲労の回復を含む多くの身体機能に悪影響を及ぼすと示されています。

熱い風呂やサウナは、意図的に水を抜くためにリフターが行いますが、高温と脱水がかなりの疲労を引き起こすことを理解し、受け入れています。

そう考えると、なぜ同じリフターの中に、異なる状況下では同じ過熱と脱水のプロセスが、疲労に対して純マイナスではなく純プラスであると考える人がいるのか、非常に不思議です。


熱い風呂やサウナが実際には疲労回復効果があるという可能性は確かにありますが、その量が鍵となります。

トレーニングにおいて、非常に軽いトレーニングは回復を促進しますが、ハードなトレーニングは累積疲労を増やします。

熱い風呂やサウナでも同様の事象が起こっていると考えられ、短時間断続的に熱にさらすのは回復メカニズムを刺激するのに対し、長時間激しく熱にさらすのはただ疲労を増やすだけです。

体温を上げるための数分間の短時間の入浴とクールダウンは効果的な疲労対策になるかもしれませんが、長時間の入浴は、特に疲れを感じ始めたときには、問題を解決するどころか、より多くの問題を引き起こしているように思えます。

さらに、熱い風呂やサウナのセッションの前、中、後に水分補給をすることで、そうしない場合よりもはるかにポジティブな効果がありそうです。

筋肉痛を減少させるためのジョギング

人間がスポーツのための計画的かつ意図的なトレーニングを行い初めて以来、筋肉痛の影響に悩まされてきました。

痛み、特に遅発性筋肉痛(DOMS)は、不快感を与え、ハードなトレーニングの妨げになることがあります。

ウェイトトレーニングでは出力が低下し、極端な可動域でのトレーニングでは柔軟性が低下します。

このように、トレーニングが実践され初めて以来、アスリートやコーチは、DOMSを減らしたり、排除したりする方法を試行錯誤してきました。

アスリートがDOMSを軽減する方法の一つに、低強度の有酸素運動があります。

特にボディビルダーは、トレーニング(特に脚トレ)の後に20~30分程度のウォーキングや軽いジョギングを行うことで、翌日に起こるDOMSの強度を軽減できると気がつきました。

陸上競技のアスリートは、ハードなトレーニングの後にクールダウンを行うと、同様なプロセスが起こると気づきました。

軽い有酸素運動は回復をサポートしますが、すべての効果が肯定的なものではありません。

実際のところ、軽い有酸素運動は適応を犠牲にして回復を促進している可能性があります。

つまり、軽い有酸素運動はDOMSを抑え、よりハードなトレーニングをより早い段階で可能にしますが、その一方で、筋肉の成長やトレーニングから得られる筋力を抑えてしまうという副作用があるのです。

軽い有酸素運動は、主に3つの方法でトレーニング適応を妨害します:細胞間シグナル伝達、神経系の適応、代謝物の除去です。

a.) 細胞間シグナル伝達

細胞間シグナル伝達は筋肥大と筋力向上の主要な要素です。

高重量のウェイトトレーニングは、様々な細胞間の伝達物質を活性化し、その中でも主要なものの一つがmTORです。

mTORは少なくとも大部分では、筋細胞内の筋肉成長と繊維タイプの変化を調整する役割を持ち、文字通り、トレーニング後の筋肉成長プロセスにスイッチを入れます。

しかし、有酸素トレーニングはAMPkと呼ばれる反対の経路を活性化します。

この経路は、ミトコンドリアの生合成のような持久力適応につながりますが、文字通りmTORの活性化をブロックします。

したがって、DOMSを減少してくれる有酸素運動は、本来ウエイトトレーニングが刺激するはずの筋肥大と筋力の向上を直接的に減少させる可能性があります。

b.) 神経系の適応

ウェイトトレーニングや有酸素運動は筋組織だけでなく、神経系にも影響を与えます。

高重量のトレーニングは、筋肉を最大限に収縮させ、最大主力を可能にするように神経系の機能を変化させます。

一方、有酸素運動のトレーニングは、持続可能な小さな繰り返しの力を生み出す方向に神経系を最適化します。

実際には、神経系は両方において最高の状態にはなれませんので、他方のトレーニングを行う際には、どちらか一方が妥協されることになります。

このように、軽い有酸素運動は、高出力のための神経系の最大適応を妨げる可能性があります。... 筋力系スポーツで最高の結果を得る助けにはほとんどなりません。

c.) 代謝物の除去

筋肥大全体のうち、わずかながらも意味のある割合が代謝物の蓄積によって引き起こされます。

ハードなトレーニングを行うと、特に高レップの場合、乳酸などの代謝物が筋肉やその周囲の血管系に集まります。

これらの代謝物の存在そのものが、筋肥大のプロセス(おそらくmTOR)をシグナルしていると考えられます。

代謝物が筋肥大の大部分を引き起こすわけではありませんが(高ボリューム高重量で起こります)、トレーニングプログラムにおける筋肉成長の最大25%を代謝物が占めている可能性があります。

代謝物はその存在自体が成長を刺激するため、より多くの代謝物が長く存在すると、より多くの成長を引き起こすように考えられると示されています。

これが、加圧 (血流制限トレーニング)として知られるトレーニング手法の基礎です。

鍛えている筋肉から離れた位置で血流を制限することで、トレーニング中に蓄積された代謝物がより長く滞留し、より多くの成長を刺激する可能性があります。

トレーニング直後に軽い有酸素運動を行うことの問題点はここにあります。

代謝物が生成された筋肉への血流を増加させることで、同じ代謝物がそのエリアからより早く洗い流されるようになります。

これによりそのエリアにおいて成長を刺激する代謝物が減ってしまうため、トレーニング効果のポテンシャルが減少します。

筋肉のサイズをできる限り早くつけたければ、代謝物をすぐに除去するのではなく、そのままにした方が良いでしょう。


現実的には、軽いトレーニングによって、適応を減少させずに向上させながら、回復を促進できます。

このようなポジティブな効果を確実に出すための方法は、軽めのトレーニングをスポーツに特異なものにし(ランナーは軽めのランニングを行い、リフターは低重量で行うべきです)、ハードなトレーニングセッションから遠ざけるようにすることです。

例えば、週に3回ベンチをする場合に、月曜日と金曜日は重いベンチの日かもしれませんが、水曜日は軽いリカバリーセッションにしておくということです。

月曜のセッションの直後である水曜のセッションをハードにやる必要はありません。

最後に、一部のアスリートはある適応を得るために、意図的に適応を妨害します。

例えば、サッカー選手は、練習後にクールダウンを実行することによって、脚の筋肥大をいくらか犠牲にします。

しかし、これにより彼らはより速く回復し、その週により多くの回数の練習をすることができ、サッカーのスキルやスプリントにポジティブな効果があります。

脚のサイズの犠牲は、トレードオフの価値以上のものです。

しかし、最大限のサイズと筋力が目標の場合は、回復促進のために適応を減少させてしまうプロセスに注意してください。

次の、そして最後の「悪い回復戦略」がおそらく完璧な例です。

高用量の抗炎症剤

一歩下がって考えてみると、抗炎症剤は非常に素晴らしい医学的、科学的成果です。

痛みを軽減し、炎症を抑えるという大きな効果を持ち、深刻な副作用がほとんどない薬です。

炎症を減らすことによって、やっかいな関節や筋肉の機能とパフォーマンスを復活させ、アスリートが早く練習に戻りプレーできるようにします。

しかし残念なことに、抗炎症剤は、いくつかの小さな、しかし重要な欠点があります。

その内の1つは、怪我の治癒と筋肉成長における適応への干渉です。

高用量の抗炎症剤は、あるトレーニングプログラムから期待される筋肉の成長を減少させることが示されています。

全ての研究がこれを示しているわけではありませんが、私たちが心配するには十分なデータがあります。

さらに、高用量の抗炎症剤は実際に怪我の治癒を遅らせることが示されており、間違いなくさらに悪いニュースです。

これは何を意味するのでしょうか?イブプロフェンをいくら使っても、回復したかのように錯覚し、トレーニングの成果をダメにしてしまうということでしょうか?

そこまで悪くはありませんが、いくつかの注意が必要です。

合理的に推奨できることとして、以下の4つの注意事項に従いましょう。

a.) 必要なときだけ抗炎症剤を使用しましょう。

トレーニングにそこまで支障をきたさずに、氷で冷やしたり休んだりできるならば、まずそれを試してみてください。

それでも効果がない場合は、抗炎症剤を検討しても良いでしょう。基本的に、抗炎症剤は 「第一の手段 」ではありません。

b.) 効果を得られる最小の用量・期間で使用しましょう。

イブプロフェンを600mg、1日2回服用して炎症が収まるなら、なぜわざわざ2,000mgも服用するのでしょうか?

用量を節約したり期間を短くして実際に炎症が治らないのはダメですが、特に理由もなく大量に摂取しないでください。

c.) 痛みの消失と回復を勘違いしないでください。

これは大きな問題です。慢性的に極度な痛みがあり、数日休んだだけでは治らない場合、オーバーリーチングの可能性があります。(オーバートレーニングの手前)

この場合は、実際に疲労を減少させる必要があり、誤魔化している場合ではありません。

抗炎症剤を服用すると痛みが軽減されるかもしれませんが、ダメージや疲労が軽減するわけではありません。

このような状態でトレーニングを続けると、結果が悪くなり、停滞し、怪我のリスクが高くなる可能性があります。

消耗による軽度な怪我でない限り、抗炎症剤では解決しないかもしれません。

d.) トレーニングプロセスにおいて抗炎症剤を「当たり前」にしないでください。

トレーニングするために抗炎症剤が必要な場合、年を取っているか、長年のハードトレーニングで消耗しているか、バカなことをしているかのどれかです。

最初の2つは抗炎症剤を定期的に利用する正当な理由ですが、最後のは違います。

これらの薬は実際に疲労を減少するものではなく、トレーニングや生活スタイルによって疲労を減少していなければ、そこを改善させる必要があります。

そこを隠すために抗炎症剤を増やせば、クソみたいな結果になるか、後戻りするか、もっと悪いケースだと怪我します。

回復について:まとめ

疲労管理の試みは、ジム内のことから始める必要があります。

軽い日、休息日、ディロード、アクティブレストがこのプロセスの大部分を占めます。

トレーニングを適切に管理できたら、本記事で詳述した疲労管理法を利用すれば(効果がなさそうなものは避けて)、よりボリュームと強度を扱えるようになり、そうすれば間違いなくよりよい結果に繋がるでしょう!

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