マイクイズラテルのMEV・MAV・MRVトレーニングボリューム理論

mike israetel's theory

Mike Israetelは、トレーニング科学の著名な研究家であり、トレーナーであり、さらにボディビル経験もある秀才マッチョです。日本でいう山本義徳さんのような存在です。

彼はMV・MEV・MAV・MRVというボリュームに関するトレーニング理論を提唱していることで有名です。

これらの概念を学ぶことで非常にシンプルに自分でメニューを作れるようになります。Mike Israetelの理論を学んでいきましょう。

筆者

Mike Israetelはデカすぎる研究家です

筆者について

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

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Mike Israetelのトレーニング理論:ボリューム

前述した通り、Mike Israetelは以下の4つのボリューム概念を基に、トレーニング理論をコーチングしています。

  • MV:筋量維持ボリューム
  • MEV:最小効果的ボリューム
  • MAV:最大適応ボリューム
  • MRV:最大回復ボリューム

これら4つについて、それぞれが何を意味するのか、どのようにトレーニングに利用できるのかを説明していきます。

上記だとよくわからない日本語訳ですが、ちゃんと説明するのでご安心ください。

MVとは

MVとは、Maintenance Volumeの略で、筋量を維持するためのボリュームを意味します。

Israetelによると、トレーニング未経験であれば当然ながら0セットがMV、経験者であれば部位によりますが6セット前後となることが多いそうです。

〜以下筆者の考え〜

また、あくまで筋量を”維持する”ためのボリュームになるため、このボリュームで一切筋肥大はできません。仮に筋肥大が起こったとしたら、それは次章で説明するMEVとなります。

忙しくてなかなかトレーニングが出来ない時期や、怪我をしていて安静に保ちたい時などに目安にすると良さそうです。

適切なMVの探し方

Israetelは、あるレップ数での使用重量の向上=筋肥大と考えることをオススメしています。これは、筋量と筋力の相関関係で非常に強いためです。

こちらに部位別で書かれているるMVでトレーニングを行い、使用重量が落ちなければさらにセット数を減らして試し、使用重量が落ちる直前がMVとなるようです。

MEVとは

MEVとは、Minimum Effective Volumeの略で、筋肥大できる最低限のボリュームを意味します。

筋肥大を起こせる最低限のボリュームとなるので、筋肥大のスピードはかなり遅くなるそうです。

筋肥大とボリューム≒セット数の関係については、筋トレのセット数を科学的に考察【1日・1週間あたりのボリューム】 で説明しています。

セット数筋トレのセット数を科学的に考察【1日・1週間あたりのボリューム】

〜以下筆者の考え〜

MEVに関しては、正直まあそうだろうな、という感想です。筋肥大は一定のラインまでボリュームに比例して伸びていくことは、すでに知られていることです。

ただ、実際に数字として把握しておくことで、「これだけやっておけば問題ない」という安心感は生まれそうですね。

やり過ぎてしまうのはトレーニーあるあるですので。

適切なMEVの探し方

Israetel曰く、MEVを見つけるのはかなり大変みたいです。MEVを見つけるには、漸進性負荷を無視して、セット数を増やさないまま、彼の推奨MEVで2ヶ月試して使用重量の変化を確認する必要があるとのこと。

使用重量が増えなかったら、MEVに足りておらず(つまりMV)、若干でも伸びればMEVの可能性が高いみたいです。

また、MEVを探す場合は最低でも2〜3年のトレーニング経験がないと意味ないとも言っています。

MAVとは

MAVとは、Maximum Adaptive Volumeの略で、最も筋肥大の結果が出るボリュームを意味します。

MAVは彼の理論の肝となるので少し長く説明させてもらいます。その前に要点だけまとめちゃいます。

  • MAVは特定のセット数ではなく毎週変わる(≒増える)
  • 1回やったボリュームは、身体が適応し、次回には効果がなくなる
  • 毎回効果を出すためには、常に前回よりもボリュームを増やす必要がある
  • 結果として、MAVはサイクル中に伸び続ける

まず重要な考えは、身体には漸進性負荷をかけていかないといけないということです。※漸進性負荷については、こちらに書いています。

身体は刺激に適応するため、1回やったら次はより重く/多くトレーニングしなければいけません。前回のトレーニングでは漸進性の負荷にならないからです。

そのため、身体に効率よく、さらに簡単に負荷を増やす方法はセット数を増やすことです。こうして、MAVは毎週(毎回)伸びていくこととなります。

ずっとMAVでやればいいのか?

この説明をすると「ずっとMAVでやればいいんじゃないか」という質問が来ると、Israetelは述べており、彼の回答を要約すると以下のようになります。

  • 結論:MEVからMRVに向かって徐々にボリュームを増やすべき
  • MEVからMRVの平均がMAVということになる
  • 最初からその平均で行うと、すぐにMRVに到達し漸進性負荷をかけられない
  • また、ボリュームが増えると疲労も高まり、ディロードの頻度を高めないといけず効率が悪い

※MRVに関しては次章にて説明します。

〜以下筆者の考え〜

つまり、その時によって身体が一番反応するボリュームは違うため、その性質を活かして最初はゆっくりスタートし、最後はガンガン追い込む必要があるということです。

この「少ないボリュームから最大のボリュームに移行して、そしてディロード」というのが彼のトレーニング理論の基礎になります。

ディロードについての記事はこちら

筋トレとディロードの研究結果や効果的な方法【筋肥大の効率向上?】を読めば、ディロードのことを全て学べます。

言い換えると、MAVをコントロールするということです。

8セットがMEVだとすると、最初のMAVは10セット程度かもしれませんが、次の週は12、その次は14、16、18、20...と徐々に増えていきます。

これを最初から20セットでスタートしてしまうと、5週後には30セットこなすことになります。時間もかかりますし、疲労も溜まり怪我しやすくなり、メリットがないです。

最小限のボリュームで効果を出すためのトレーニング理論なんですね。

適切なMAVの探し方

MAVはMEVとMRVの中間地点、ただそれだけです。MEVとMRVを見つけることに集中しましょう。

MRVとは

MRVとは、Maximum Recoverable Volumeの略で、身体が回復できる最大のボリュームを意味します。

これ以上ボリュームを増やしてしまうと、回復が間に合わずに筋肥大が起きないレベルとなります。

初心者がトレーニングをしてもほとんど(一切)筋肥大が起きない研究結果が存在しているのは、初めての人にとってトレーニグの負荷がMRVを超えているためらしいです。

さらに、ディロード前のサイクル最終週はMRVを若干超えるくらいがベストみたいです。機能的オーバーリーチ(functional overreaching)と彼は呼んでいますが、簡単に言うとMRVを超える週とディロードの週で超回復を狙うということになります。

〜以下筆者の考え〜

MEVでも思いましたが、この数字を把握することで「やりすぎを防ぐ」ことができます。これは本当にトレーニング愛好家にとっては重要だと思っています。

ボリュームが多すぎて回復が間に合わず発達しない人や、必要以上に時間を欠けてしまっている人、身体を痛めたり怪我したりという人は多いです。

「回復できるボリュームじゃないと意味ないですよ」、とこれだけデカい研究者に言われれば素直に受け入れられますね笑

適切なMRVの探し方

MRVは、その名の通り回復できるギリギリを見つける必要があります。

回復していない基準として、ここでも特定のレップ数でのパフォーマンスを指標にするべきと述べています。

例えば、以下のケースでは回復しきれていないため、MRVを超えていると言えます。

  • 1週目:ベンチプレス 100kg 3セット 10レップ RPE@8
  • 2週目:ベンチプレス 102.5kg 4セット 10レップ RPE@9
  • 3週目:ベンチプレス 105kg 5セット 10,7,5,4,3レップ

※RPEは主観的運動強度のことです。8なら2レップ余裕が、9なら1レップ余裕があると見てください。詳しくは、RPEとは?トレーニングへのメリットや注意点を解説を読んでみてください。

上記のパターンだと、2週目がMRVを超えているため、3週目のパフォーマンスが急激に落ちています。

しかし、たまたま睡眠・栄養不足だったり、継続的な疲労によってパフォーマンスが低下していた場合はどう判断すればよいでしょう。

答えは、何回もサイクルを繰り返して判断するのみ、です。

1週目のMEVから4週目の推定MRVに向けてセット数を増やしながらトレーニングをするとします。もし4週目でパフォーマンスが低下していた場合は、3週目がMRVを超えていると推測されます。

そのため、次のサイクルでは4週目の推定MRVを6セット程度下げてどうようにサイクルを進めます。パフォーマンスの低下が見れらなければ次のサイクルでは数セット増やしてみたり、今回もパフォーマンスが落ちたとしたらさらに推定MRVを下げてサイクルを回してみましょう。

当然ながら部位によってMRVは変わるので、注意してください。詳しくは次章にて説明します。

Mike Israetel推奨のトレーニングボリューム

MV〜MRVは部位ごとに違います。彼の推奨ボリュームを下記にまとめてみたので、参考にしてください。※部位名をクリックすれば詳細の記事に飛べます。

部位MVMEVMAVMRV
大胸筋81012-2022~
背中81014-2225~
大腿四頭筋6812-1820~
ハムストリング4610-1620~
上腕二頭筋5814-2026~
上腕三頭筋4610-1418~
三角筋中部と後部0816-2226~
三角筋前部006-812~
大臀筋004-1216~
僧帽筋0012-2026~
ふくらはぎ6812-1620~
腹筋0016-2025~

MVやMEVが0のものは、コンパウンド種目ですでに刺激が入っているという前提です。また、同様の理由で腕や肩もセット数がMEVが少なくなっています。

まとめてみると、MEV~MRVは大体8~22セットくらいとなります。1部位週2回やっていると考えると、1回あたり4~6セットからスタートし、最終週には10~12セットまで増やすことになります。

このボリュームを週でどう分けるかについて、Israetelはトレーニング頻度も説明しているので、次章で見てみましょう。

Mike Israetel推奨のトレーニング頻度

部位頻度 / 週
大胸筋1.5~3
背中2~4
大腿四頭筋1.5~3
ハムストリング2~3
上腕二頭筋2~6
上腕三頭筋2~4
三角筋中部と後部2~6
三角筋前部1~2
大臀筋2~3
僧帽筋2~6
ふくらはぎ2~4
腹筋3~5

大胸筋と大腿四頭筋で1.5回という表記がありますが、これはしっかり追い込む回と、重量やボリュームを低めに軽くやる回のパターンみたいです。

種目や部位の関係上ダメージが大きい部位は頻度が低いです。例えば大胸筋や大腿四頭筋、ハムストリングは低めの頻度が推奨されています。

反対に、回復が早い部位に関しては最大週6回まで推奨されています。上腕二頭筋や三角筋中部・後部がその例です。

週に1回のみのパターンは基本的にオススメされていません。週のボリュームは少なくとも2回に分けるようにしましょう。

Mike Israetel推奨のトレーニングサイクル

ここまでで何度か、「サイクル」や「ディロード」という話をしていきました。

  • サイクル:4~8週間程度のトレーニングの期間
    Israetel理論の場合、終盤に向かってMRVに到達するようにボリュームを増やしていく
  • ディロード:ボリュームや強度を落とし、身体を回復させるとともにボリュームに対する感度をリセットさせる週

Israetelの考えでは、MEV→MRV→ディロードというサイクルの構成が常にセットになって説明されます。

この1サイクルのことをメゾサイクル(mesocycle)と呼び、ある目的を持ってそれらを何回か行うサイクルをマクロサイクル(macrocycle)と呼びます。

例えば、パワーリフティングやボディビルディングの試合までの16週間をマクロサイクルとし、その中で4週間ずつ4つのメゾサイクルがある、といった感じです。

メゾサイクル・マクロサイクルの組み方

メゾサイクルでは、部位毎に種目を決めた後、MEV~MRVに合わせてセット数を増やしていき、重量も上げていく必要があります。

多くの種目でセット数を稼ぐのではなく、やっても1部位あたり1日2種目程度が彼の推奨です

メゾサイクルの基礎

  • メゾサイクルは4~6週間
  • 毎週重量とセット数を増やすのが基本
    (2.5kg、1セットずつ)
  • メゾサイクルの最終週はディロード

マクロサイクルでは、目的に応じてメゾサイクルの内容をうまく設定しなければいけません。そのため、マクロサイクルの目的を明確にした上で、メゾサイクルに落とし込むことをオススメします。

マクロサイクルの基礎

  • マクロサイクルの目的を明確にする
    (コンテスト前やパワーリフティングピーキングなど)
  • メゾサイクル2回程度で種目を変える
  • 高重量のメゾサイクル、低重量のメゾサイクルなど強弱をつける
  • 高ボリューム、低ボリュームで強弱をつける

マクロサイクルでは、停滞を防ぐためにメゾサイクルごとの変化を調整します。

16週間4メゾサイクルのマクロサイクルであれば、最初の8週間は中重量・中ボリューム(MRVはもちろん達成します)、8~12週目は高重量・低ボリューム、13~16週目は低重量・高ボリューム、などに分けられます。

ボリュームが恒常的に高い状態だと身体の適応が鈍くなるため、一時的に低ボリュームサイクルも取り入れた方が良いでしょう。

サイクルの組み方解説はこちら

筋トレのサイクル筋トレのサイクルの組み方を解説します【参考例あり】

Mike Israetelのトレーニング理論:まとめ

物凄く長くなってしまいました。これでも情報は削ったつもりなのですが、Mike Israetelの理論はシンプルですが、まだまだ語れることがあります。※今後もちょくちょく記事にしていきます。

要点を簡単にまとめておきます。

  • MEV~MRVは筋肥大に必要な最小ボリュームから、最大限回復できるボリュームまでを意味する指標
  • 常に身体の回復を考慮しながら、ボリュームをサイクル内で増やすことが重要
  • 部位別にMV~MRVは違う
  • マクロサイクルの目的に合わせてメゾサイクルを構成する

初めて読むコンセプトなので少し理解が難しいかもしれません。そんな方でも1つだけ覚えておきましょう。

トレーニングは、毎回ボリュームを増やして最後にディロードするの繰り返しです。

Mike Israetelの理論は、上記のシンプルだけれど管理が難しいコンセプトを、簡単に実施するための理論だと思います。

どんな目的を持ったトレーニーでもためになると思うので、ぜひ自分のトレーニングに取り入れてみてください。

読んでいただきありがとうございました!

セット数と筋肥大の関係性について詳しく学びたい方は、ぜひ筋トレのセット数を科学的に考察【1日・1週間あたりのボリューム】 も読んでみてください。

セット数筋トレのセット数を科学的に考察【1日・1週間あたりのボリューム】

本記事は、Renaissance Periodizationの許可を得て、筆者が翻訳・解説しています。オリジナルの記事は下記参考文献をご確認ください。

参考文献

  1. TRAINING VOLUME LANDMARKS FOR MUSCLE GROWTH (2019-09-25時点)
  2. THE HYPERTROPHY TRAINING GUIDE CENTRAL HUB (2019-09-25時点)