低重量で効かせた方が筋肥大に効果的な理由

筋肉の収縮感

デカイ人で「効かせることが大事」と言い、あまり高重量ではない重さで丁寧にトレーニングする人は多いです。

一方で、「重量が全て」というマインドでトレーニングしている人もいます。

私は効かせる意識を持つのに賛成派です。

本記事では科学的根拠も含めながら、効かせる意識を持つ方が筋肥大に効果的な理由を解説していきます。

筆者

無駄に疲労しない

筆者について

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

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「筋肉に効かせる」とは?

そもそも「効かせる」って何なのでしょうか。おそらく人によって解釈が大きく異なるでしょう。

「筋肉の強い収縮感」と考える人もいれば、「バーン(筋肉が熱く燃える感覚)」と捉える人もいます。もしくは、トレーニング後日の「筋肉痛」で判断する人もいるでしょう。

ちなみにツイッターでOJSNさんが以前アンケートを取ってくださっていて、以下のように分かれています。2020年2月時点で1,255票もあるのでかなり参考になるでしょう。

ご覧の通り、バーンズが25%、パンプが29%、筋肉の収縮感が41%です。

筋肉に「効く」という感覚は人それぞれ違うとわかるとは思いますが、本記事では内容を簡単にするために、「筋肉に効く」=「筋肉の収縮感が強い」と置きたいと思います。

ちなみに、英語では似たような概念を「mind-muscle connection」と表現します。筋肉を動かしている感覚があるのか、ということです。そう考えると筋肉の収縮感が一番近いようにも思います。

低重量で効かせた方がいい理由

いきなり本題に入りますが、カイグリーンのようなデカいビルダーさんが比較的軽い重量で効かせることに重きを置くのはなぜでしょうか。

筋肥大には漸進性過負荷、つまり重量を増やしていくことが一番重要なのではないでしょうか。

もちろん漸進性過負荷は重要です。トレーニング歴が長くなるにつれて、トレーニングボリューム(重量とは限らないが、基本的に重量も増える)を増やさなければいけないのは事実です。

しかしながら、低重量で効かせる意識を持った方がいいと私も考えています。理由は以下4つからです。

  • 効かせる方が筋肥大するという研究がある
  • 刺激の割に身体が疲労しない(局所的にも全身的にも)
  • 漸進性過負荷を管理しやすい
  • 筋トレが上手くなる

それでは1つずつ確認していきましょう。

筋肉に効かせる効果を見た研究

科学的根拠に忠実にトレーニングしている人の場合、主にボディビルダーが推奨している「効かせるトレーニング」に少し抵抗感を持つ人もいるでしょう。

しかしながら、実は効かせることによって筋活動は高まるということがわかっています。こちらの研究では、1RMの60%までなら意識することで活動が高まっています。*(1)

80%では意識しても変わらなかったようです。要は意識しなくても最大限利用されるということでしょう。

60%と聞くと低いから関係ないと思うかもしれませんが、レップ数にしておよそ15前後のため十分にパワーリフターを含むトレーニーに関係する話です。

効かせることで筋肥大も向上する

  • 8週間、効かせる意識を持たせるグループと上げるだけのグループがトレーニングを実施
  • 種目はアームカールとレッグアクステンションを4セット8~12レップ
  • トレーニング頻度は週3回(連続はなし)
  • 効かせるグループが12.4%、上げるだけグループが6.9%の筋肥大(上腕二頭筋)

さらに上記のように、筋肉を意識することで筋肥大しやすいという研究が存在しています。*(2)

上腕二頭筋だけでなく、大腿四頭筋でも同様の傾向が見られたとのことです。

筋肉を使う意識をするだけで、倍近い筋肥大を引き起こせるのは素晴らしいです。このテクニックを利用しない理由がありません。

ボディビルダーが長年これを語ってきているのは、やはりちゃんと効果があるからなのでしょう。

本研究の注意点

この結果に対する注意点として、研究者の一員であるブラッド・ショーエンフェルドは以下のように述べています。*(3)

3~5レップなどの高重量では、おそらく重量を効率よく上げることに集中してしまうため、このテクニックを活用できない可能性がある。...
あくまで1つの研究結果であり、本トピックへの回答とされるべきではない。...トレーニング経験者の複合関節種目における違いも比較していくべきである。

簡単にいうと、①高重量では難しいと思う、②あくまで今回の条件下で効果があっただけ(アイソレーション種目中レップ)ということです。

少なくとも、似たような条件でトレーニングする分には全然参考にしていいでしょう。

刺激と疲労の比率を効率化させる

前章で紹介したポジティブな研究結果が、効かせるトレーニングを行う十分な理由になり得ますが、それ以外にも様々あります。

まず一番最初に思いつくのが、疲労度を抑えることです。疲労にはざっくり2種類あると考えています。この2種類どちらでも抑えられると思います。

  1. 局所的疲労
  2. 全身的疲労

1つ目の局所的疲労は、例えば上腕二頭筋を鍛えるとしたらそれに関与している肘関節や腱、また上腕二頭筋そのものなどです。

局所的疲労が高まることで、その筋肉のパフォーマンスが落ちるだけでなく、関節組織の怪我に繋がります。

2つ目の全身的疲労は、例えばデッドリフトを行った後に、デッドリフト以外の動作もだるくなってしまうような疲労です。

全身的疲労が高まることで、一般的にどんな種目でもパフォーマンスが落ちてしまいます。疲労を起こした種目に関係なくです。

必要以上に重い重量を扱うということは、この2種類の疲労を両方高めてしまうということになります。

ベントオーバーロウなんかを例にするとわかりやすいでしょう。60kgでストリクトに「効かせる」だけなら、腰も肘も肩もそんなには疲労しません。

しかし180kgでチーティングしたらどうなるでしょうか。少なくとも私の場合は腰が疲労し、次の種目への影響が大きくなります。下手したらそのセッション中に腰を痛めるかもしれません。

60kgで丁寧に行っても、180kgでチーティングしても、正直筋肥大はそこまで変わらないと思います。180kgでも60kgを背中の正しい筋肉で扱い、120kg分は脚と反動であげているからです。

そのため、本来その筋肉で正しく挙上できる重量を使っていれば、疲労を抑えながらも同じ刺激を与えられるのです。

疲労の低下≒総ボリュームの向上

疲労を抑えることで、総ボリュームを増やすことができます。

ボリュームを増やせない理由は、回復が追いつかないからです。回復力が同じでも疲労が減れば、その分ボリュームを増やせることになります。

ボリュームは筋肥大に一番重要な要素です。レップ数でもなく、頻度でもなく、その合計値であるボリュームです。

効かせることを意識して疲労を抑えれば、その分別の日に同じ部位をやったり、全身的疲労も低下するので違う部位でもボリュームを増やせます。

ボリュームについて学びたい方へ

筋トレ頻度筋トレの頻度は筋肥大に関係ない研究【重要なのはボリューム】 レップ数は?筋トレに効率的なレップ数は?筋肥大にレップ数は関係ない研究

漸進性過負荷を管理しやすくする

次に考えられる理由は、漸進性過負荷の管理です。

「漸進性過負荷の管理」とは何のことでしょうか。簡単にいうと、長期的にトレーニング負荷を増やせているか、管理していくことです。

一般的にはトレーニングサイクル(ブロック)という手法で調整されます。経験の長いトレーニーであれば感覚で上手くいく人もいるでしょう。

なぜ効かせることで漸進性過負荷が管理しやすくなるかというと、重量にばらつきが出なくなるからです。

先ほどのベントオーバーロウの例を想像してください。ある日60kgでストリクトで始めたはずが、漸進性過負荷を意識するあまり、120kgでチーティングしているかもしれません。

本来の実力であれば70kgが限界かもしれないです。「効かせる」意識がなくなることで、重量を伸ばしているはずが実際は伸びていない事態に陥ります。

そのため、重量は伸ばしにくくなるかもしれませんが(というより本来あるべきペースで伸びるようになる)、筋肉を収縮させる感覚を重視してトレーニングした方が良いのです。

筋トレが上手くなる

これは定量的な指標ではないですが、効かせる(筋肉を収縮させる感覚)のが上手い人は筋トレが上手いはずです。

どんな種目を行うにも、ターゲットの筋肉があり、またそれに合った動作があります。さらに個人差もあるでしょう。

いつまでも筋肉を収縮させる感覚がない人は、どの種目をやったら効かせられているかもわからず、それにより正しい動作もわかりません。

また感覚がないため必要以上に重量が扱えてしまう上記のようなケースに陥り、疲労が溜まる、そしてボリュームが稼げない、そして筋肥大しないという悪循環に入ります。

長期的なスパンで考えると(そもそも筋肥大は長期的に考えるべきですが)、効かせる能力は確実に身につけた方がいいものと思えます。

効かせるコツを考える

私なりに効かせるコツをまとめてみたいと思います。ボディメイク系の競技をやっているわけではないので、一般トレーニーに向けたものだと解釈してください。

  • 動作中に狙いたい筋肉の動きに集中する
  • 1レップ目からチーティングが必要な重量は行わない
  • できる限り可動域を広げる
  • ネガティブをコントロールする
  • ウォームアップでは収縮ポジションでポーズを入れる

超普通なことですが、おそらく最初の2つが「効かせるコツ」の90%くらいはカバーできるくらい重量なのではないかと思います。

ジムで高重量を扱っているからってかっこよくはないです。デカイやつがかっこいいです。5kgでサイドレイズしてもいいんです。20kg使ってぶんぶんしている人よりもデカい肩で5kg使いましょう。

特に初心者だと、できる限り重い重量を扱いたくなってしまうかもしれません。私はジムに通い始めた時そうでした。

もちろん最初は凄いペースで伸びるのでそれが良かったりもするんですが、実力を振り返ること重要です。

自分よりも明らかに大きい人が、自分よりも圧倒的に軽い重量を扱っていたら、「あれ?」と考え直しましょう。

挙げられている、と思っていても重量に振り回されているケースが非常に多いです。効かせるためのテクニックは、本当に重量選択が大半を占めると思います。

残りのテクニックはかっこいいビルダーやフィジーカー兄さん達の解説動画やパーソナルから学べばいいと思います。

低重量で効かせた方がいい理由:まとめ

以上が低重量で効かせるトレーニングを行うべき理由です。

科学的にも効かせる意識を持った方が、対象筋が活性化し筋肥大にも繋がります。

さらに、筋肥大に必要な漸進性過負荷の管理がしやすかったり、疲労低下によるボリューム向上が狙えたりと、メリットばかりです。

効かせることを意識するあまり、重量が長期的に伸びなくなるのは良くありませんが、確実に意識した方が筋肥大には効果的です。

自分も中途半端になってしまうことがあるので、改めて意識していきたいですね。

読んでいただきありがとうございました!

参考文献

  1. Calatayud, J., Vinstrup, J., Jakobsen, M.D. et al. Importance of mind-muscle connection during progressive resistance training. Eur J Appl Physiol (2016) 116: 527.
  2. Schoenfeld, Brad & Vigotsky, Andrew & Contreras, Bret & Golden, Sheona & Alto, Andrew & Larson, Rachel & Winkelman, Nick & Paoli, Antonio. (2018). Differential effects of attentional focus strategies during long-term resistance training. European Journal of Sport Science. 18. 1-8. 10.1080/17461391.2018.1447020.
  3. The Mind-Muscle Connection: A Key to Maximizing Growth?. Lookgreatnaked.com (2020-02-08時点)