ショルダープレスはベンチプレスに効果的なのか

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ショルダープレスはベンチプレスに効果的なのか

ショルダープレスでも、ミリタリープレスでも、オーバーヘッドショルダープレスでも、スタンディングバーベルプレスでも、名前は何でもいいんですが...

本記事では、ショルダープレスがベンチプレス1RM向上という目的に対してどのような効果を持つか、考えたいと思います。

個人的な経験を元にかなり主観的な内容となりますので、あくまで一意見として受け取ってください。

ショルダープレスでベンチプレスが伸びる場合

個人的には、ショルダープレスが伸びたからといって、ベンチプレスが伸びるとは限らないと思います。

ベンチプレスを伸ばしたいのであれば注力するべき種目は第一ににベンチプレスであり、他の種目に取り組むのであればそれなりの理由があるべきです。

ショルダープレスを行うべき、もしくは少なくとも多少の効果が見込めるのは、以下のような人だと思います。

  • ベンチプレスでボトムから頭方向にプレスする感覚がない
  • ベンチプレスで三頭筋と三角筋前部があまり強化されない
  • 広背筋や大胸筋・小胸筋がガチガチに固い
  • 体幹を強化したい

冒頭でも述べましたが、かなり主観的な考えです。経験談も交えながら、1つ1つ解説していきたいと思います。

ボトムからの軌道・角度を練習できる

ベンチプレスの軌道

ある程度ベンチプレスについて調べている人、トップ選手を見ている人であれば既に知っていると思いますが、ベンチプレスでは一般的にボトムから頭上方向にプレスするのが効率的です。

以下が、ベンチプレスのバーの軌道を初級者と上級者で比較した図になります。

ベンチプレスの軌道
左が初級者の111kgを挙上している軌道、次がマイク・ブリッジズの210kg、最後にビル・カズマイアーの274kgです。
出典元:Bench Press Bar Path: How to Fix Your Bar Path for a Bigger Bench

なぜこれが効率的かと言うと、挙上距離と三角筋への負荷が最適化されるからです。

挙上距離を短くするためには、当然ながらアーチの高いお腹側にバーを降ろす必要があります。

しかしながら、そのポジションは肩から非常に離れており、肩への負荷が大きくなります。バーベルフロントレイズをしているようなものです。

ベンチプレスの態勢で、お腹の上でバーを保持するのか、肩の上でバーを保持するのか、どちらか簡単か考えると、肩の上の方が楽なことがわかると思います。

そのため、挙上距離を短くするためにアーチの高い位置に下ろした後、より負荷の小さい頭側にバーを持ってきてプレスするのです。

レッグドライブで頭側に押すのも、これが一因だと思います。ボトムポジションから素早く「逃げる」ために、レッグドライブで効率的なポジションに移動するためです。

ショルダープレスの軌道

なぜショルダープレスによって、上記ベンチプレスの軌道を練習できるかと言うと、フル可動域でのショルダープレスにはこの前後の動作が必須だからです。

胸の上部にバーを静止させた状態から、肘をロックアウトする位置までプレスすると仮定します。

この時に、バーが頭を越える段階で若干後方に移動させないと、ロックアウトポジション保持が異常に難しくなります。

身体の前でバーを保持することになるからです。

バーが頭を越えたら自然に後ろに流していく(肩と一直線上に持っていく)ことで、ロックアウトが保持できるようになります。

このようにして、バーベルを後方に押す軌道の感覚を練習できます。

私の経験では、「バーを頭上側に押す」という感覚が最初は一切掴めなかったのですが、そんな中でショルダープレスを試した時に何となく理解し始めました。ショルダープレスでは必須の動きだからです。

ベンチプレスでは、後ろにプレスしなくても、問題なく挙上できてしまいます。

そのため、どうしても感覚がわからない人は、ショルダープレスを試してみる価値があるでしょう。

また、このメリットを得るためには、「胸の上から肩の延長線上まで」というフル可動域で行う必要性があるので、狭い可動域(特に頭上のみなど)は避けるよう注意してください。

ベンチプレスよりも三頭筋と三角筋への負荷が高い

2つ目のメリットは、当たり前に感じますが、ショルダープレスでは三頭筋と三角筋を効率的に鍛えられます。

ベンチプレスを学び始めると、特にボディメイクを中心にしてきた人は、「胸に効かせる」という意識を強く持っているはずです。

そうすると自然と脇が開き、肩の水平屈曲(フライの動き)が強まった胸主動のベンチプレスになりがちです。

また、こういった意識を持っていなくても、骨格上、胸にばっかり効いてしまい、主動筋である三頭筋や三角筋が中々発達しないこともあり得ます。

筋力を伸ばすには、当然ながら筋肥大も必要になります。

そのため、ベンチプレスで三頭筋や三角筋が成長していないと感じる人は、ショルダープレスを取り入れてみても良いでしょう。

上記の軌道の話とは違い、今回は「筋肥大」を唯一の目的としているため、ダンベルでもバーベルでも、スタンディングでもシーテッドでも何でも良いでしょう。

一方で、筋力は基本的に動作に特異性を持っているため、「筋力」を強めたいのであれば、ベンチプレスの動作そのものを行うべきです。

従って、筋肥大を重視したサイクルでショルダープレス系補助種目を豊富に取り入れ、筋力重視ではショルダープレスをなくし(もしくはバーベルプレスなど動作を近づける)、ベンチプレスに集中すると良いでしょう。

デカくした筋肉を、その次のサイクルで強くするイメージです。

トレーニングサイクルについて

肩周りを健康に保ち、怪我のリスクを抑える

これは完全に経験談に基づいた話です。

一時期、ショルダープレスなど垂直方向のプレス種目を一切行わず、ケアもろくに行わず、ベンチプレスを週3〜4でやっていた時がありました。

結果的に、小胸筋を痛めました。(一応知人トレーナーに軽く見てもらっての判断です。恐らく小胸筋で間違い無いと思います。)

ビッグ3では広背筋や小胸筋といった筋肉が、常に固められているばかりで、ガチガチに固くなってしまいます。

私の場合、懸垂やラットプルダウンなどはフル可動域を意識していたので、多少なりともストレッチは得られていたと思います。

しかし、小胸筋を痛めてベンチプレスを抑えてた時期に、スタンディングのショルダープレスを取り入れ初めてから、広背筋と小胸筋のガチガチ感が和らぎました。(最初はロックアウトでさえ、違和感があり難しく感じました...)

ビッグ3ばかりに集中している人は特に、垂直方向にプレスすることがないため、身体の基礎的な動作を維持するためにも、ショルダープレスは効果的だと思います。

体幹が鍛えられる

これは正直ベンチプレスに限ったメリットではないのですが、ショルダープレスは種目の特性上、体幹の力がかなり要求されます。

臀部に力を入れ、腹圧を高め、上半身を固めて一気にプレスする必要があり、ビッグ3の基本となる要素を鍛えることができます。

もちろん、逆に言えばビッグ3で出来ている人はこのメリットはないです。

個人的には、スクワットの体幹の感覚に一番キャリーオーバーがあると思っています。

特にロックアウトのポジションなどは慣れていないと腰が反ってしまいがちです。

スクワットにおいても、「バーを担ぐ」動作に慣れていないと、腰が反って体幹から力が抜けてしまいがちです。

まあスクワットをやっているだけで習得できればいいのですが...もしかするとショルダープレスで感覚が得られるかもしれません。

ショルダープレスとベンチプレス:まとめ

以上が、ショルダープレスのベンチプレスへの効果のまとめになります。

前述しましたが、ベンチプレスを伸ばしたいのであれば、まずはベンチプレスに集中するべきです。

そんな中で、「軌道の感覚が掴めない」「三頭筋と三角筋前部を強化したい」といった何かしらの目的がある人は、ショルダープレスで効果的にベンチプレスを伸ばせるかもしれません。

あくまで停滞から抜け出す一手段として、試してみると良いでしょう。


筋トレ研究所管理人

筋トレ研究所管理人

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

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