大胸筋のトレーニングメニュー:筋肥大のコツ

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大胸筋のトレーニングメニュー:筋肥大のコツ
本記事はRenaissance Periodizationの許可を得て、英語から翻訳しています。https://renaissanceperiodization.com/chest-training-tips-hypertrophy/

大胸筋トレーニングのコツ

本記事では、大胸筋トレーニングのコツをいくつか紹介します。

私のトレーニングやコーチングの経験をベースにしている一般論ということに注意してください。

あくまで考えのベースであるべきで、ここに記載されている内容に全て従えばいいというわけではありません。

もしまだ読んでいなければ、※筋肥大のためのトレーニングボリュームの目印を読んでみてください。

本記事で紹介していることの理論的、そして実用的なベースが理解できます。

この記事が内容が気に入ったけどもう少しトレーニングメニューに関してRPの専門家の助けが欲しい場合は、大人気のMale PhysiqueFemale Physiqueテンプレートを見てみてください。

マイクイズラテルのMEV・MAV・MRVトレーニングボリューム理論にて、彼の理論について本ブログ内に日本語で解説しています。

セット数

MV:筋量維持ボリューム

筋肉を維持するためには、ほとんどの場合、トレーニング経験のある人で週に8セットやる必要があります。

MEV:最小効果的ボリューム

筋肥大を起こすためには、大半の中級者は少なくとも週に10セットやる必要があります。

MAV:最大適応ボリューム

大体の人は、平均で週に12〜20セットだと反応がいいです。

身体が大きく非常に強い人は、バーベル種目中心の場合セット数が少なくてもいい傾向にあります。刺激が強く、身体へのダメージが大きいからです。

MRV:最大回復ボリューム

週に22セットを超えると、回復しきれない問題が出てくることが多いです。

若干このセット数を超えてもちゃんと回復できる人も中にはいます。

コンパウンドのプレス系種目のレップ数(筋力)が落ちてきた場合は、MRVを超えていると考えましょう。

種目

胸筋のトレーニングは主に3つの種類から構成されます。

胸筋全体を刺激するフラットのプレス種目、大胸筋上部を鍛えるインクラインプレス種目、上腕三頭筋を動員しない胸のアイソレーション種目です。

フラットプレス種目

インクラインプレス種目

胸のアイソレーション種目

頻度

頻度:週に1.5〜3回

胸筋の働く方向や作りストレッチがかかりやすい関係で、胸筋のダメージは大きく、しっかりと回復させる時間が必要です。

胸筋を週4回以上行うメニューが上手くいくことはあまりなく、身体の大きい強い人だと週に1回+肩や三頭筋のあとに少しだけ、という人もよくいます。

強度(重量)

非常に軽量だったり、5〜8レップの重いセットだったり、様々な強度で結果が出ることがわかっています。

一般的には色んなレップ数で胸のトレーニングを行うべきですが、8〜12レップが上手くいくことが多いです。

それより重い重量だと、必要なボリュームに達成しようとした時に関節への負担が大きく怪我のリスクがあります。

反対に軽すぎるとパンプはいいですが、中々実際に筋肉の発達に繋がらないです。

種目のバリエーション

胸筋はダメージを受けやすく疲労がすぐたまります。

また、鎖骨頭(大胸筋上部)と胸骨頭(大胸筋中部・下部)に繋がる2つのエリアに分かれていて、別々の刺激が必要です。

さらに、アイソレーション種目は胸筋トレーニングの中心にはなりませんが、筋肥大を最大化するためには非常に重要な要素であると考えられます。

胸筋のトレーニングメニューを作成する際には、フラット、インクライン、アイソレーションが全て含まれているようにしましょう。

1週間の中で少なくとも数セットはこれら全ての動作を含むべきです。

可動域

胸筋は荷重状態でストレッチされダメージを受けやすく、同時にその動作によって一番筋肉が成長します。

プレス種目を行っていて、一番下まで降ろしていないと(バーベルなら胸に当たるまで、ダンベルならそれよりさらに下)、筋肥大のポテンシャルを失っています。

重量を上げて可動域を狭めると、肩や肘への負荷が増え、より怪我しやすくなってしまいます。

化学的ストレスを用いたテクニック

ドロップセットやジャイアントセットも胸筋トレーニングには効果的ですが、アイソレーション種目の事前疲労法が非常に上手くいきます。

何らかのアイソレーション種目で20RMの重量を扱います。限界の数レップ前まで行い、その後すぐにコンパウンド種目に移ります。

ケーブルフライトワイドグリッププッシュアップや、ダンベルフライとダンベルプレスの組み合わせなどがオススメですが、クリエイティブに自分の組み合わせでやってみてもいいです。

ピリオダイゼーション

他の部位と同様に、最初のメゾサイクルは中重量の中レップで行うべきです。

その次のメゾサイクルでも似たような設定で、レップ数や種目を少し変更してもいいかもしれません。

もしくは、1RMの60%程の軽量で高レップで化学的ストレスを狙った、高ボリュームのブロックにもできます。

そのメゾサイクルの後は、3〜4週間程度の短いメゾサイクルで、1RMの70〜85%程の筋力狙いの低ボリューム期間を設けるべきです。

低ボリュームを入れることで、筋肉の感受性をリセットして今後さらに筋肥大しやすくなります。

この期間が終わったら最初のメゾサイクルに戻って繰り返しましょう。

種目ごとの割合

マクロサイクルを組み立てる際は、フラットプレスとインクラインプレスに集中する時期を入れ替えながらやると胸の発達が一番いいように思えます。

例えばあるメゾサイクルで、重い種目の大半はインクライン(セット数の50%)、残りはアイソレーション(25%)とフラットプレス(25%)だとします。

これを1、2回繰り返した後には大胸筋上部が停滞しやすくなっていて、ディロードだけでは回復しきれなダメージが残っています。

この時点で、50%をフラットにして、残りをアイソレーションとインクラインに切り替えれば、中部と下部を追い込みながらも上部は回復させ感受性を取り戻せます。

上部か下部のどちらかが優先の場合は、メゾサイクル2回分はその部位に集中し、その後のメゾサイクルで優先度の低い方を行いましょう。

大胸筋トレーニングの参考メニュー

週に2回、5週間分の参考例です。

1週目

1日目

バーベルベンチプレス:4セット 8レップ 70kg
ケーブルフライ:4セット 12レップ

2日目

インクラインクロースグリッププレス:4セット 10レップ 60kg
ワイドグリッププッシュアップ:合計50レップ(セット間30秒休憩)

2週目

1日目

バーベルベンチプレス:5セット 8レップ 72.5kg
ケーブルフライ:4セット 12レップ

2日目

インクラインクロースグリッププレス:5セット 10レップ 62.5kg
ワイドグリッププッシュアップ:合計60レップ(セット間30秒休憩)

3週目

1日目

バーベルベンチプレス:5セット 8レップ 75kg
ケーブルフライ:5セット 12レップ

2日目

インクラインクロースグリッププレス:5セット 10レップ 65kg
ワイドグリッププッシュアップ:合計70レップ(セット間30秒休憩)

4週目

1日目

バーベルベンチプレス:5セット 8レップ 77.5kg
ケーブルフライ:5セット 12レップ

2日目

インクラインクロースグリッププレス:6セット 10レップ 67.5kg
ワイドグリッププッシュアップ:合計80レップ(セット間30秒休憩)

5週目

1日目

バーベルベンチプレス:2セット 5レップ 70kg
ケーブルフライ:2セット 6レップ

2日目

インクラインクロースグリッププレス:2セット 6レップ 42.5kg
ワイドグリッププッシュアップ:合計20レップ

特記

イカしたトレーニングメニューの組み方として、「アイソレーションサンドイッチ」があります。

アイソレーションが効果的なことはわかっていますが、コンパウンド種目のように高重量の刺激を安全に与えることはできません。

そのため、どうしてもコンパウンド種目の後にしかアイソレーション種目は行えないです。

しかしながら、アイソレーション種目で胸筋を事前疲労させておけば、他のプレス種目の時に胸筋を集中的に刺激することができます。

それではアイソレーションはいつやれば良いのでしょう?コンパウンドの後なのか、前なのか。答えは両方です!

重いコンパウンド種目(基本的にバーベル)を最初に数セット行い、その後にアイソレーション種目に移りましょう。

アイソレーション後にマシーンやダンベルで再度コンパウンド種目を行えば、事前疲労した胸筋に刺激を与えられます。例えば以下のような感じです。

バーベルベンチプレス:4セット 8レップ
ダンベルフライ:4セット 10レップ
ダンベルインクラインプレス:3セット 12レップ

この他の部位はこちら

マイク・イズラテルのトレーニング理論はこちら


Renaissance Periodizationはコンテストやスポーツ、ボディメイクなどの目的に対して科学的なコーチングをするグループです。

Mike Israetel

Mike Israetel

Mike Israetelは、トレーニング科学の教授で、パワーリフティングやボディビルディングの競技経験もあり、さらに米国オリンピックトレーニング地でのスポーツ栄養コンサルタントを担当した経験があります。

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