パワーリフターはボディビルダーのようにトレーニングするべき

パワーリフターはボディビルダーのようにトレーニングするべき

Powerlifters Should Train More Like Bodybuilders

著者:Greg Nuckols

執筆日:2015-2-7 (2020-2-25訳)

Greg Nuckolsはトレーニング科学の学士習得・修士習得中のパワーリフターです。パワーリフターとして100kg、110kg級の世界記録を3つ保持したことがあり、またコーチとして何百もの選手をサポートした経験があります。MASSの執筆者の一員でもあります。

本記事は、Stronger By Scienceの許可を得て、英語から翻訳しています。Stronger By Scienceはトレーニーを実践的・科学的アプローチでコーチング、またメディアで情報を発信しているグループです。※画像の出典元は原文記事になります。

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序論

重要なポイント

  • 挙上重量を大きく左右する要素は6つあります。
  • その内、長期的に見てトレーニング手法で影響されるのは筋肉のサイズだけです。
  • 高重量(1RMの85%以上)のみに集中しても筋量を増やせますが、「ボディビルディング」形式のトレーニングの方が筋肥大最大化のためには圧倒的に効率的で効果的です。
  • 超上級者の場合はトレーニング特異性により集中することでメリットがあるかもしれませんが、その効果を最大化させるためには、しっかりとした基礎的な筋肉を持っていることが大事です。

一般的なトレーニーに「かなり大きいですね。ボディビルダーでしょうか。」と言ったら、大体の人は競技をやっていないと言う前に微笑んでお世辞に感謝するでしょうが、実際にはバルクに気づいてもらえて喜んでいます。

一般的なパワーリフターに「かなり大きいですね。ボディビルダーでしょうか。」と言ったら、「ボディビルダーはただ使えない筋肉があるだけ」、「トレーニング目的で価値があるのは筋力向上のみ」、「パワーリフティングとボディビルディングの目的は真逆」、(そして続けて)、「インザーベルトにSBDニースリーブ上腕33cmの自分が、ボディビルダーとして知られる、自惚れていて自身に夢中で弱くて機能的でないパワーラックでカールする種であるか、と不作法に示唆されたことに傷ついた」、と独りよがりな講義/説教をほぼ間違いなく行うでしょう。

本記事の目的は、いかに上記の感情が間違っているかを説明することです。

前半では高重量を持ち上げるための要素を解説していきます。後半では、なぜパワーリフターがボディビルダーのようにトレーニングするべきか、それが何を意味しているかを解説します。

昔のパワーリフター
トップパワーリフターはオフシーズンのような見た目をしていることが多いです。408kgデッドリフトを挙げるためにボディビルダーを食しているかのように見える、ドイル・ケナディを除きます。

人によって挙上重量が重い・軽い理由

私の考えでは、挙上重量を決定する要因は主に6つ存在します。

  • 筋肉のサイズ
  • 筋繊維の種類
  • 体節の長さ(身長、四肢の長さ、胴体の長さなど)
  • 運動学習の要因
  • モチベーション・興奮・疲労
  • 筋肉の起始と停止

筋肉のサイズ

筋肉が大きいと、その他の条件が同じ場合(「その他の条件」は本章の他の要素です)、より筋力が強いです。

これは避けて通れません。一定のラインを越えると、大きくなるしかないです。

詳しくは後ほど解説するので、ここではこの程度で終わりにしておきます。

筋繊維の種類

勘違いされがちなことなので、早めに解説したかったです。

大抵の人はタイプ2筋繊維(速筋線維)の比率が高い方が高重量をあげられると想定しています。

しかしながら、それは専門用語の勘違いに起因しています。

タイプ1筋繊維とタイプ2筋繊維は役割がいくつかの点で大きく異なります。

タイプ1筋繊維は疲労しにくく(そのため持久系運動に向いている)、刺激が与えられた際に最大出力に達するまでより時間がかかります。

反対に、タイプ2筋繊維は疲労しやすいですが、刺激が与えられた際に早く最大出力に到達できます(パワー依存型の運動に向いている)。

しかしながら、ある部位でのタイプ1筋繊維最大出力は、タイプ2筋繊維の最大出力とほとんど同じです。

タイプ2筋繊維の方が単純に早く最大出力に到達するため、短距離走やジャンプといったパワー依存型運動に向いているだけです。

しかしながら、パワーリフティングは(スポーツの名称から連想されることとは反対に)、パワー依存型スポーツではありません。

パワー自体は1RMの30~60%でピークに達し、最大重量ではかなり低くなります。

パワーと力
最大重量では、出力は大きいですがパワーは小さいです。1RMの30~60%ではパワーは大きいですが出力は著しく低くなります。※Force:出力、Power:パワー、Resistance:重量

これらは、筋繊維の比率は挙上重量を左右しないということを意味しています。

注意点が2つあります。

1) タイプ2筋繊維はタイプ1筋繊維に比べて筋力トレーニングに適応、成長しやすいため、若干は筋繊維比率によって長期的な筋力のポテンシャルが制限されるかもしれません。

しかしながら、研究ではエリートパワーリフターの場合(スクワット/デッドリフトの平均が280kg、ベンチが170kg)、非トレーニーとほとんど同じタイプ1/タイプ2筋繊維の比率を持っていると示されていて、パワーリフティング自体はタイプ2筋繊維が多い人に向いているという訳ではなく思えるため、あくまで理論上での話です。

タイプ1筋繊維の比率が異常に高い人にとっては関係があるかもしれませんが、ほとんどの人にとっては筋繊維比率は関係がないでしょう。

筋繊維の比率
かなり強いパワーリフターと非トレーニーコントロール群で同様のタイプ1・タイプ2(2aと2bの合計)筋繊維比率が見られます。

2) タイプ2筋繊維はタイプ1筋繊維に比べて最大出力に早く到達するため、ベンチプレスのボトム、スクワットのボトム、デッドリフトの床からの挙上の際に、スピードが向上する可能性が少しだけ存在し、そのスピードにより最大重量挙上中のスティッキングポイントを効果的に抜け出せるかもしれません。

しかし、バーを降ろす際に重量をコントロールするためにすでに筋肉がかなり収縮しているため、スクワットとベンチプレスに関しては、上記は無理な解釈に思えます。

最大重量では、重量を切り返す前からすでに遅筋繊維も動員されているはずのため(Henneman's Size Principleによると遅筋繊維の方が動員が早いため)、筋繊維比率に関係なく、切り返し時に筋繊維が活性化するとしたら主に速筋繊維になります。

デッドリフトに関しては、大抵の人は床からの挙上が一番弱いです。膝上で失敗するかもしれませんが、床からの挙上が弱くないとは限りません。

わかりにくいですが、本記事では解説に値しないので、今後別の記事で解説します。

最大出力に到達するのが遅くなっても、挙上自体のスピードではなく、主にバーが床から浮き始めるまでの時間にしか影響しないでしょう。

パワーリフティングにとって筋繊維比率はほとんど重要でないとしか言っていないので、気をつけてください。

他のスポーツの場合は、もちろん重要です。タイプ1筋繊維が多い方が持久系運動に向いていますし、タイプ2筋繊維が多い方がパワー依存型スポーツに向いています。

体節の長さ

これまで筋肉がどれくらいの力で収縮できるかということを説明してきました。次はある関節において動作を生み出すために必要やトルクについて説明します。

トルクは加えられた力と力が加えられているレバーの長さ(モーメントアーム)を計算します。

簡単にこれを適応すると:自分がシーソーに座っていて自分よりももっと大きい人が反対側に座っているとして、2人とも両端に座っていたら、反対側にいる人は地面についていて、自分は空中にいます。

この状態から身体の大きい人が中心(支点)に近寄ったら、シーソーのバランスを取れます。

シーソーとトルクの例
この人は支点の真上に座らなくてはいけなくなります。

スクワットしてる人が2人いるとして、その内1人の方が大腿骨が長く、その他は同条件だとしましょう(テクニック、トレーニングレベル、筋肉量などが同じ)。

つまり、膝を伸展させるために働いている大腿四頭筋のモーメントアーム(膝と重心、大体足の中心、との距離)、股関節を伸展させるために働いている臀部や内転筋、ハムストリングのモーメントアーム、もしくはこれら両方は大腿骨が長い人の方が長くなります。

つまり、一定の重量をスクワットする際に、大腿骨が長い人の方が必要なトルクを生み出すために筋肉がより強く収縮(より大きな力)しなければいけないということです。

大腿骨と胴体の長さはこういった形でスクワットとデッドリフトに影響を及ぼします。

さらに、身長も影響します。全ての体節が長くなるため、一定の重量に必要なトルクを生み出すためにより大きな筋肉の力が必要となるためです。

最後に、腕の長さはデッドリフト(長いと可動域が短くなり挙上が簡単になる)とベンチプレス(長いと可動域が長くなる)に重要な要素です。

しかしながら、全体として見ると、体節の長さによって総合的なパワーリフティングのパフォーマンスが大きく影響されることはないです。

まずはじめに、あなたが雪の結晶のように自分の思う特別な存在であることは恐らくないでしょう。

相対的な体節の長さにいくらかの差はありますが、外れ値(訳注:他の値から大きく離れた値)を除き、10%未満に収まることがほとんどです。(つまりあなたより2倍スクワットをあげる人は、あなたの大腿骨が長いからではありません。同じ長さだとしたら、その人は2倍あげるのではなくて1.8倍になる程度です。)

身長に関しては、必要なトルクは身長とともに増えますが、総筋量も増えます(身長あたりの筋肉量は同様ということです。)。

背の低い人の方が依然として若干有利ではありますが、Wilksフォーミュラでは考慮されていて、背の低い/軽い選手と背の高い/重い選手が公平に競えます。

最後に、体節の長さによって1種目で有利になった分だけ、他の種目で不利になります。

大腿骨が長いとスクワットはダメかもしれませんが、一般的にはデッドリフトには向いています(脚が長い人は腕も長い傾向にあるため)。

腕が長いとデッドリフトには良いかもしれませんが、ベンチプレスにはダメです。

全体的に見ると、体節の長さはそれぞれの種目のパフォーマンスには影響するものの、それを言い訳にする人が望むほど影響しません(10%未満の差です)。

さらに、1種目で不利になっても一般的には他の種目で有利になります。

運動学習と神経効率

トレーニング頻度に関わってくるため、これも流行りのトピックです。

トレーニング頻度を増やすことによって運動パターンの習得が早く・良くなり、筋力が向上しやすいのでしょうか?

初心者に関しては、そうではないようです。経験者の場合は、そうかもしれません。(詳しくはこちら

しかしながら、今まで行われてきた研究の大半は、この考えの支持者(Pavel, Dan John, ブルガリアンシステム支持者)が仮定する手法を使っていません。

そのため現時点では、特にポジティブ・ネガティブな科学的根拠がなく主に理論的なものになります。

しかし、理論を深掘りする前に、実際にめちゃくちゃ強い人たちは何をやっているのか一度確認しましょう。どんなパターンも存在します。

初期のエリートリフターは各種目を週4回以上トレーニングしていました。

70年代から90年代後半にかけてのトップパワーリフターはスクワットとデッドリフトを週1回、ベンチプレスを週2回でした。

ブルガリアンシステムのウェイトリフターは毎日高重量スクワットを行い、全員異常に強かったみたいです。(イヴァン・イヴァノフの体重4倍でのフロントスクワットと、イヴァン・チャカロフのコーチは彼が体重のほぼ4倍である350kgを3レップあげたと言っていますが、彼の体重3倍でのベルトレススクワット3レップはこちらです。)

東欧諸国の優れた選手の大半はスクワットを週3回、ベンチプレスを週4~5回、デッドリフトを週2回やっています。

急上昇しているノルウェーのチームは東欧諸国のパワーリフターと似たようなボリュームと強度でトレーニングしていますが、頻度はおよそ2倍です。

中国ウェイトリフティングチームは高重量スクワットを週2回行っています。(数々の異常なスクワッターを生み出しています。)

リルブリッジ流だと高重量スクワット・デッドリフトは2週に1回だけです。(反対の週で低重量スクワット・デッドリフトをやります。)

これらから何を学べるでしょうか?

  • 神経系や運動学習といった要素が向上することで、筋活動向上、テクニック効率化、神経筋対応向上(協力筋の活性化と拮抗筋の非活性化)によって、挙上重量が伸びることは否定できませんが...
  • 今までのエリートリフター達が証明しているように、どんなトレーニング頻度でも運動パターンは習得できます。トレーニング頻度を増やすことで習得が早くなるかもしれませんが、何年もトレーニングする予定なのであれば、トレーニング頻度に関係なく熟達するでしょう。(よりテクニカルなオリンピックウェイトリフティングではなく、比較的テクニックが必要ないパワーリフティング種目のことを話しています。)

モチベーション・興奮・疲労

これらは今このタイミングでどれくらい挙上できるか、という点に関わってきます。

モチベーションが高く、疲労が少なく(Banisterのインパルス応答モデル、いわゆるフィットネス-疲労パラダイムを応用します)、最適な興奮度(Yerkes-Dodsonの法則により、低すぎても高すぎてもネガティブです)の場合は、より高重量を挙上できるでしょう。

パフォーマンスと興奮度
※Performance:パフォーマンス、Arousel:興奮度。

筋肉の起始と停止

あまり多くの人が語りませんが非常に大きな要素です。我々の身体は実は高重量を上げるのに適した構造ではありません。

似たようなサイズの動物と人間を比べると、人間の方が圧倒的に弱い傾向にあります。

その主な理由が筋肉起始部の違いです。筋肉が関節から遠くに起始していると、その関節でより大きなトルクを生み出せます。

私たちの筋肉の大半は、動作する関節の非常に近くに起始しています。

可動域を広くするのは効果的ですが(関節での動きに必要な組織伸展が少なくなるため)、筋肉が生み出した力(直線的)が関節でトルク(角)に効率的に変換されないことを意味しています。

以下が簡単な描写になります。レンチのA点を握った場合、B点を握った時よりも強く引かないとボルトは回りません。

大半の場合、人間の筋肉はA点に似た形で起始していて、動物の筋肉はB点に似た形で起始しています。

レンチ
上手くやりたいならB点を握りましょう。前腕を半端なくパンプさせたければA点を握りましょう。

次に人間と猫のハムストリングを比較してみましょう。

猫の場合、ハムストリングが脛骨と腓骨の非常に下の方に停止していて(17と18)、人間の場合、ハムストリングは膝の近くに停止している点に着目してください。

これは、人間と猫が同じ力でハムストリングを収縮させた時、猫の方が圧倒的に大きな膝屈曲トルクを生み出せることを意味しています。

猫の筋肉
効率的なハムストリングの停止部
人間の筋肉
非効率的なハムストリングの停止部

人間は人によって筋肉起始部に差があり、小さな変化でも大きな差になるため、体節の長さの差よりももっと重要です。

例えば、胴体が地面と水平な状態でグッドモーニングをしている2人の股関節伸展トルクを比較してみましょう。

片方の人の胴体が10%長いとします。

そうすると、胴体が長い人の方がモーメントアームが10%長くなるため(バーベルから股関節までの前後の距離だと思ってください)、一定の重量を上げるために10%大きい股関節伸展トルクを生み出さなければいけません。

次に、胴体の長さは同じ2人で、片方の人の坐骨結節が2.5cm突き出ている、つまりハムストリングの起始が坐骨結節のより下方に位置している場合を比較します。

全然ありえる話です。骨盤は様々な形とサイズが存在します。

骨盤
medicotips.comより

股関節とハムストリングの起始の距離が平均約7.5cmだとします。

その距離が2.5cm長いと、ハムストリングが同じ力で収縮した場合に~33%大きな股関節伸展トルクを生み出すことになります。

筋肉は関節の非常に近くに起始しているため(基本的には5~10cm以内)、小さな違いが大きな差に繋がります。

余談ですが、強いデッドリフターは「股関節優位」なスクワットな傾向にあり(スティーブ・ゴギンスマイク・トゥシーラー)、バーが前方に流れても上げ切りやすく、スクワットがデッドリフトと同重量程度かデッドリフトよりも重い人(チャド・ウェズリー・スミスやエリック・リルブリッジ)はより上体を起こしてスクワットする傾向にあり、前方に流れると失敗しやすいように思えます。

例外的な股関節伸展筋起始部によってこの傾向が生まれるとしても、驚かないです。

股関節伸展筋群の話のみでしたが、全ての関節の主動筋には同じことが当てはまります。

大胸筋が上腕骨の下方に停止していたら、強いベンチプレッサーになりやすいです。広背筋が上腕骨の下方に停止していたら、かなり高重量の荷重懸垂がやりやすいです。膝蓋腱が脛骨の下方に停止していたら、より高重量でスクワットできるでしょう。

上腕二頭筋が大したことないのに凄い重量をカールできる人を知っていますか?きっと上腕二頭筋停止部が橈骨の下の方なのでしょう。

トレーニングはどうすればいいのか?

今度はこれらの要素を1つずつ振り返り、トレーニングをどのように行うべきか確認します。

筋肉の起始と停止

どのテクニックで最大重量を上げられるかに関わってきますが(普遍的な「完璧なフォーム」がバガげている理由の1つです)、手術でもしない限りこれらを変えることはできません。

完璧なフォームという神話完璧なフォームなど存在しない

モチベーション・興奮・疲労

これらは急性な要素です。

疲労を抑えたり興奮度を調整できるようになるのは良いですが、長期的な筋力のポテンシャルというよりは今現在どれくらい挙上できるのかという点に関わってきます。

運動学習と神経効率

トレーニング頻度を増やすことで運動パターンの習得が早くなる可能性はありますが、何年もトレーニングしていれば、それなりの頻度で高重量を扱っている限りパワーリフティング3種目(比較的単純な動作)は習得できるでしょう。

体節の長さ

筋肉の起始・停止とどうように、テクニックに若干の影響があるものの、自分が持っているものでどうにかするしかありません。

筋繊維の種類

同上。また、パワーリフティングにはほとんど関係ありません。

筋肉のサイズ

カランカラン、大当たりです。

解説してきた要素の中で、運動学習と神経効率を除き、筋肉のサイズのみが長期的に見て大きく変化させられる要素です。

しかしながら、運動学習と神経効率は高重量を練習していれば勝手に身につきます。

筋肉のサイズも何かしらの筋力トレーニングをしていれば大きくなりますが、より筋肥大に効果的なテクニックがあることも明確でしょう。

ヒントは、1~5レップのマックス重量セットではないです。

深掘りする前に、パワーリフティングで強くなるために筋肉増量に集中してトレーニングすることは、科学的に直接支持されていることを言っておきたいです。

こちらの研究では、エリートパワーリフターにおいて、3種目のパフォーマンスは主動筋の筋厚と強い相関関係があることが示されています。(また変わったことに、肩甲下筋の筋厚が3種目全てに最も相関が強かったのは余談です。)

別の新たな研究では、全国レベルリフターのパフォーマンスを予測できる最も強力な要素は身長あたりの筋肉量だと示しています。

でかいは強い、です。

トップレベルパワーリフター
世界レベルのトップリフターです。疑わしいレベルでバルクがあります。

筋肉量は筋力のポテンシャルだと考えてください。筋肉が増えてもすぐには強くならないかもしれませんが(低重量でトレーニングして最大重量でのテクニック効率を少し失ったなど)、強くなるポテンシャルが生まれます。

同じサイズのままでは、どれくらい強くなれるか上限が決まってしまいます。

2者を比較した場合、筋肉量が多い方が強いとは限りません(筋肉起始、体節の長さ、テクニックなどの要素により)。おそらくその人の方が将来的に強くなるでしょうが。

しかしながら、小さい自分とでかくなった自分を比較した場合、他の条件が同等であれば、でかい方が強くなります。

筋肉のサイズを除いたその他の要素、特に体節の長さや筋肉停止部は、比較的軽量であまり筋肉があるように見えない人が、高重量を上げられる主な要因です。

小さな筋肉がより強く収縮している訳ではなく、ある種目にとって有利な体節の長さを持っていて一定の重量を上げるために必要なトルクが小さいか、同等の筋収縮力でより大きなトルクを関節に生み出せる筋肉起始をしているかのどちらかです。

小さな筋肉で高重量を上げられるようにするための特殊なトレーニングがあった訳ではなく、単純に身体の構造によるものです。

筋肥大の方法

そうなると、次の質問は、どうすればより筋肉を増やせるか?になります。

筋肥大には、ボリュームが最優先です。このボリュームを増やす方法は基本的に2つ存在します。

  • パワーリフターのようにトレーニングする(1~5レップの高重量セットを多く行う)
  • ボディビルダーのようにトレーニングする(8~12レップのセットを主に行う)

前者の場合、東欧諸国(シェイコ流など)やノルウェーの選手のようなトレーニングを組む必要があるでしょう。平均強度を落とすということです。

必要とされるトレーニングボリュームに耐えきるために、1~5レップのセットを基本的に70~80%の低重量で、ほとんど85%は超えずに行う必要があります。

さらに、それらのセットは2~3レップ余力を残すくらい簡単でなければいけません。

筋肥大を最大化させるために必要なボリュームを85~90%以上挙上すること、もしくは余力が1レップ以内に集中しながら行おうとすると、怪我や心身的疲労のリスクが高まります。

大抵の人には後者をお勧めします。なぜでしょうか?単純に、同様の目標を達成するためにもっと効率的な方法だからです。

ボリュームに関する研究

ブラッド・ショーエンフェルドによる最近の研究により、まさにこの点が説明されています。

リフター2グループが、3セット10レップと7セット3レップに分かれて、扱える限りの高重量を行いました。

8週間後、3レップのセットだったグループはより筋力が向上していますが、どちらのグループも筋肉増量は同レベルでした。

皮肉なことに、多くのリフターはこの研究を見て、2つの注意点に気づかず、「ほら、高重量3レップでもデカくなれるじゃん」と跳びついてしまいました、

3セット10レップのトレーニングは17分しかかかっていないのに対し、7セット3レップのトレーニングは70分かかっています。

また、3セット10レップのグループはもっとトレーニングしたかったのに対し、7セット3レップのグループは研究終了時には身体がこわれていました。

7セット3レップグループの方が筋力が向上したことに関しても、私は特に驚かないです。

そのグループの方が研究終了時に強いのは当然でしょう。最大重量に近い重量を扱っていたため、1レップマックスをあげる準備がより整っています。

8週間違うトレーニングをした後に、両グループに4~6週間のピーキングが与えられたとしたら、3セット10レップグループは高重量での自信と効率を改善できるため、筋力の差はなくなるとほぼ保証できます。

ジムにいる時間が4分の1で同じ筋肉量が得られるのであれば、現実的に考えると、研究時の内容よりも多くのボリュームを扱う欲求があり、実際に扱えるため、7セット3レップグループよりも3セット10レップグループの方が筋肉量が増える結果となるでしょう。

基本的なトレーニング推奨方法

パワーリフターがボディビルダーのようにトレーニングするべき:まとめ

まず初めに、今の階級にはこだわらないでください。一番競技力が高まる階級は、最大筋量(身長あたりの筋肉量が重要な要素だと思い出してください)で脂肪を最低限に抑えられる階級です。

1〜2年しかトレーニング経験がないのであれば、今いる階級はおそらく最終的にいるべき階級ではないです。

今の段階では軽めの階級の方が競技力があるかもしれませんが、まだ成長するポテンシャルがあるのにそこにとどまっていたら、長期的に見て上限を設定してしまっています。

基本的なトレーニングの組み方として、以下の2つの内どちらかをお勧めします。

ブロックピリオダイゼーション形式

ブロックピリオダイゼーションを用いて、一年の大半を「ボディビルディング」形式、各部位もしくは動作を週2~3回、メイン種目は5~10レップ、補助種目は8~15レップ、各セッションの部位別セット数は6~10セット(トレーニング経験に基づいて)、といったトレーニングに費やします。

ボディビルディング形式のトレーニングにおいて、バーベルにこだわらないでください。

当然ながら試合形式に準じた種目は継続して練習するべきですが、筋肥大トレーニングにダンベルやマシーンを使ってもまったく問題ありません。(可動域が長くなったり、筋肉のテンションが抜けないため、筋肥大には向いている可能性すらあります)

試合前の6~8週間は高重量を扱い、重量に自信を持ち、最大重量に近い重量や最大重量でのスキルを伸ばせるようにしましょう。

パワーリフティング・ボディビルディング混合形式

メイン種目はパワーリフターのようにトレーニングし、補助種目はボディビルダーのようにトレーニングします。

試合から離れた時期は、メイン種目はセッションあたり1~3セットで2~5レップ行うのみにし、ボディビルディング形式の補助種目(部位/動作あたり6~10セット8~15レップ)に集中する時間とエネルギーを確保します。

試合まで9~12週間になったら、6~8週間かけて、メイン種目重視に移行し、最終的には4~8セットで2~5レップ程度までに持っていき(各セット1~2レップは余力を残す)、補助種目は半分に落とします。

その後2~4週間かけて試合に向けてピーキングしましょう。(メイン種目はさらに高重量ですがボリュームは落とし、疲労を最低限に抑えるため補助種目はほとんど、もしくは全くなしです)


このような形式でトレーニングして基礎的な筋肉が出来上がったら(少なくとも3〜5年)、シェイコやノルウェー流のトレーニングに移行して特異性を向上させ、最も必要な場所に筋肉をつけることにトレーニングボリュームの大半を使った方がいいかもしれません。(この時点では自身の筋肉量の上限に近づいているため大きな問題ではありませんが、最も効率的な方法ではないです。)

大きくすることに集中していれば、高重量を時折、特に試合前などに、扱っていれば、筋力は勝手についてきます。

筋肥大を最大化させるために必要なボリュームを無視して高重量の筋力系トレーニングだけに集中した場合、長期的に見て自分に上限を設定してしまっています。

少なくとも筋肉量の上限に近づくまでは、トレーニングの大半は身体を大きくすることに使われるべきです。

ボディビルダーとパワーリフターの境界線は競技によって引かれるべきです。トレーニング手法に関しては、超エリートを除き、両者の違いはもっと漠然としているものです。

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